暑い夜の衝動

関係：恋人同士
舞台：道中

今回は説明が極端に少ないと思います。
古き良きといいますか、夏目漱石の時代の純文学のような静けさといいますか、そんなような空気を書きたくなったのです。
現代なのか現代じゃないのか。二人はどんな関係なのか。どこへ行こうとしているのか。全て読まれた方のご想像にお任せ。読まれた方なりの二人や情景を脳裏に描いていただけるようなものになっていれば嬉しいです。
……SSなのに今回は妙に思い入れがある気が(笑)

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　　++ 指 ++

　暖かな風が吹いている。
　前を歩く彼のシャツがゆるやかにはためいている。
「あの……」
　彼の足が止まった。
「どうしました？」
　振り向かれてしまうと、こんなことで呼び止めたのは迷惑だろうか、となんだか躊躇してしまう。
　暑さのためか、それとも緊張のためか、手はじんわりと汗ばんでいた。
「手を……」
「手？」
「つないでも、いいですか？」
　少し驚いた表情を見せた後、彼はゆっくりとうなずいた。
「ええ、どうぞ」
　大きな手が目の前に差し出される。
　すらりと伸びた指に、差し出そうとした手が止まる。汗ばんだ手を重ねられるわけがない。
　彼がわずかに首をかしげた。
「いい、ですよ？」
「……はい」
　彼の指だけを握った。
「それで、いいんですか？」
「はい。これで十分なんです」
「……そうですか」
　彼の親指が私の手に重ねられる。
　手をつないでいる、ではなく、指を引っかけているようにしか見えない。でも、本当にこれで十分だった。彼の熱は確かに伝わってきている。
　そんな状態でしばらく歩いた後、彼がぽつりと言った。
「手を、つないでもいいですか？」
　それは、さっきの私と同じ台詞。
「これでは、だめですか？」
「少し、不満です」
「手は……つなぎたくないんです」
「では、離しましょう」
　私の指から彼の手がするりと抜けていった。
　彼の体温に安心しきっていた指は突然の解放に戸惑っている。彼から見放されたかのような心細さが胸に襲ってきた。
　正直に言えば、また、手をつないでもらえるだろうか。
「汗をかいているんです。だから……嫌だったんです」
　彼は何も言わない。
　熱気をはらんだ空気が私たちの間を抜けていった。
　心細い手を、突然、熱いもので包まれた。
「そんなことで、逃したくはありません」
　彼に手を強く握られていた。
　逃れようとするけど、長い指はしっかりと私の手を包み込んでいる。
「私も汗をかいています。……気持ち悪いですか？」
　確かに、手の甲に湿った感触がある。
「いいえ」
　彼が微笑んだ。
「では、行きましょう」
「……はい」
　置いていかれないよう、彼の手をしっかりと握り締めた。


　◇終◇

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このような場ながら読んでくださってありがとうございました。
よかったら感想のお声をコメント欄などから聞かせてください。

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母と二人

母が急に今週いっぱい会社が休みになったので、今日のお昼に二人で宇治に散策に行きました。宇治までは車で20分ほどのところに住んでます。
たぶんこのブログで初めて画像を貼り付けることになると思うのですが……画像は宇治にある超有名な「中村藤吉」の抹茶ゼリー(手前左)、アイスグリーンティーオーレ(手前右)、母が頼んだ抹茶ソフトクリーム(奥)です。宇治の観光などの雑誌ではたぶん必ず載っているほどの有名店ではないでしょうか。
抹茶ゼリーがたっぷりと入っていて抹茶アイスもついているのに650円のお手軽さ。味はもちろん本格的な濃厚抹茶。ゼリーの抹茶加減に飽きてグリーンティーオーレを飲んだらこれまた抹茶。うざいくらいに口内が抹茶づくしでした(笑)

なぜ珍しく画像があるかというと、あまりの暑さにやられながら入った店内の涼しさと抹茶スウィーツのボリュームにテンションが上がり、友達に写メを送りまくったから、です(笑)

お返事……5/5～5/17到着分

5/17 21:43＞お題小説トップより感想をくださったPさん
5/17 12:50＞短編「雨宿り」に感想をくださった方
5/17 0:35＞お題小説トップより感想をくださった方
5/14 19:05＞お題小説「2.壊れ物を扱うように」に感想くださった方
5/5 9:15＞お題小説「2.壊れ物を扱うように」に感想くださったKさん
5/5 0:35頃＞お題小説「2.壊れ物を扱うように」に感想くださった方

お返事は「つづき」をクリック。

5/17 21:43＞お題小説トップより感想をくださったPさん
メッセージありがとうございます。
おお、朗報に喜んでくださる方がこんなところに！(笑)　友達の言葉がきっかけで成り行きで書くことになったとはいえ、こうして喜んでくださる方がいて私もすごく嬉しいです。
実は作品はもう書けているので、あとは更新作業だけなのです。明日中には更新しようと思っていますので、あの二人を読みにきてやってください。
5/17 12:50＞短編「雨宿り」に感想をくださった方
昔の作品へのメッセージをありがとうございます。
先輩が可愛い、ということで読み返してみました。ほぼ忘れてしまっていたので……。た、確かに可愛い奴ですね、先輩(笑)　最近は無愛想な年上男性ばかり書いていたので先輩の初々しさに作者ながらにちょっと癒されてしまいました。
昔の作品を読み返すきっかけをくださってありがとうございます。そして、私の作品には珍しい「先輩」へのファンコールもありがとうございました。
5/17 0:35＞お題小説トップより感想をくださった方
メッセージありがとうございます。
番外編を～ということはこっそりと日記に書いただけなのに反応がいただけるとは思いもしませんでした。よくぞ見つけられました(笑)
現在執筆中です。3分の1ほど書けました。旅行へ行くほどにはなりましたが相変わらずの二人です。その後を想像した時にこの二人はあまり変わらない感じがしたので。
私なりのイメージで書きますので、この二人を好いてくださってる方のイメージが崩れないことを祈ります。気長にお待ちください。
5/14 19:05＞お題小説「2.壊れ物を扱うように」に感想くださった方
メッセージありがとうございます。
身分差いいですよね～。私も本当に大好きです。忠実に仕えているのもいいのですが時々かみつく感じもまた良し。仕える彼よりも、主従関係にやきもきするお嬢さんを書くのが楽しいです。
身分差はこれからも私の作品に入ってくると思いますので、見かけたらまた読んでみてください。
5/5 9:15＞お題小説「2.壊れ物を扱うように」に感想くださったKさん
メッセージありがとうございます。名乗られるお名前以外にこちらには一切の情報がないので、他にもKさんと名乗る方がおられたら戸惑いますから、できればお名前を名乗っていただくほうがこちらとしては助かります。こっそりメッセージ送信されたものなので返事の際には伏せますが……。冗談で伏せているわけではないので……すみません。
このシチュエーションはいい、の後に「最高です」とさらに付け加えられているところにKさんの悶えをひしひしと感じます(笑)
でかい男と少女の体格差の対比には私も悶えるものがあります。ひょいと少女を持ち上げるところはこっそり私も好きです。
あ、お嬢様と彼だと身長差はそこまでないので、お嬢様の手はおそらく彼の胸あたりに回るんじゃないでしょうか……たぶん。さすがにお嬢様の腕が彼の腰ってことはないと思います、小さい子じゃないんで(苦笑)
テンション高くてもこちらは全然かまいませんので、次回もまた存分に悶えた様子を聞かせてくださいね。
5/5 0:35頃＞お題小説「2.壊れ物を扱うように」に感想くださった方
メッセージ＆誤字報告をありがとうございます。
ものすごく素早く誤字報告してくださったおかげで、大勢の皆様の目に触れる前にこっそりと修正することができました(笑)
たった一文字ながらラスト付近の誤字は冷めてしまいますよね。世界観に入り込むお邪魔をしてしまってすみませんでした……。一応、簡単にチェックはしたのですがラスト付近は見逃しておりました。いや、本当に助かりました。ありがとうございました。

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抱きしめて5題「２．壊れ物を扱うように」更新

前回の更新から割と早めの更新……だと思います。自分でも作品を書き終えた時に早さにびっくりしました。でも、毎回こう早く作品が書けるわけではないので更新速度はあいかわらずマイペースという認識でお願いします(笑)

例の如く、お題を見ているだけで湧きました。
そして、短編ながら最初の構想以上に話がすごい展開に転がっていってびっくりした作品でした。最初の構想では、女の子の肩車を見て、部屋に戻った彼に「私もして」みたいなことを言う予定でした。で、肩車の予定が抱きしめられて、となって終わる。安易ながら、そんな予定でした。でも、彼が部屋に戻ってきた時から「それでは物足りない」と思ってしまったんですよね。そこから最初の構想を捨ててキーを打つ指に任せましたら……ああなりました(笑)
お題がお題だけに書きながら思いました。いつ抱きしめるんだ、と。結局ちょこっとだけしか「抱きしめて」になりませんでした。ああなるには多大な時間がかかってるんですよ……とか語ってみたりしたいですが、そこはまあ読まれた方の受け取り方にお任せします。こういうのは作者が語るものではないですしね。ラストの受け取り方は人それぞれってことで、放置プレイ。
あ、そうそう。今回、どうしてお嬢様とボディーガードなのかと言いますと「壊れ物を扱うように」というお題を見てすぐに浮かんだのがその関係だったからです。今回の「抱きしめて５題」のカップル関係については、お題を見て浮かんだ直感に任せてます。だから、次のお題がどんな二人になるかは私もまだわかりません。直感勝負。

このように(どのように？笑)私も楽しんで書いてたりします。とりあえず、今回の作品がどなたかの胸をきゅんとさせられることができれば嬉しいです。

抱きしめてお題「1.前からぎゅっ、て」更新

お題設置から早い作品公開となりました、と思います……(笑)
お題を借りた時点ですでに創作意欲は燃えていて、お題設置更新をした後にすぐ一つ目を書き始めたのです。
うん、やはりこのお題たちは創作意欲を刺激されます。
なんというか「ぎゅっ」という言葉だけで「恋人」とイメージしたんですよね。なんとなく、ぎゅっと抱きしめる状況なら恋人同士のほうがいいな、と思いまして。
なんで眼鏡男子という付属を追加したかと申しますと、無愛想な眼鏡男子がむしょうに書きたくなったから、です。あと、あんまりベタベタいちゃいちゃしているカップルは書きたくなかったので、彼を無愛想にしておけばラブラブカップルを書かなくていいな、とも思ったのです。おかげ様でいい眼鏡の彼が出来上がりました。書きやすかった……。
今回は割と眼鏡を活かした話になっているだろう、とうぬぼれているのでトップの更新のとこにもわざわざ「眼鏡」と書いてます。普通の方に楽しんでいただくと共に、眼鏡男子好きな方々を悶えさせられれば成功です(笑)
この「抱きしめて5題」は書きやすいのはもちろんのこと、いろんなシチュエーションで妄想できるので楽しいです。さて、次はどんな二人の関係にしてやろうかな、と今から楽しみ。
そんなわけで、私はおもいきり楽しんでますので、読まれた方々にも楽しんでいただけるものになっていれば嬉しいです。あ、よかったら感想も聞かせてくださいませ(ついでに言ってみる。笑)