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関係:教師と生徒

無愛想先生ブームが到来しているようです。この先生を書きたいがためにネタを必死で頭から出しているような。それでもまだまだ足りない感じです。
今回はむしょうに、積極的ストレートな女の子と無愛想のやり取りが書きたくなりました。なにせほとんど喋ってくれない先生なので、ズバズバと言うくらいの女の子のほうが書きやすいんですよね。放っておいたらいつまでも終わらないくらい脳裏にはいろいろなやり取りが浮かんできて、やっぱりストレートで素直な女の子は書きやすいと痛感。無愛想にらみにもひるまないような強い女の子は楽しいです。
実は私としては前作のカップルよりも実は甘いんじゃないかと思っているのですが、読まれた方にとっては、両思いなようでカップルにはなってないから前作の二人には敵わないのでしょうか? こういう感覚は人それぞれなのでいまいち自信はありませんが、私的にはラスト近辺はイチャイチャしているつもりです (笑)
さすがにそろそろ無愛想先生はネタ切れかな、と思っているのですが、書きたい意欲はまだあるのでまた書くかもしれません。あ、女の子のわがままに本気で怒る先生とか書いてみたいかもですね。きっと絶対むちゃくちゃ怖いはず。泣きそうになるほど切ない展開にしたい。
……ネタ切れと呟いた直後に浮かんでいるわけですが、執筆予定は未定ということで。
例の如く、読んでくださった方がときめきや萌えなど、ささやかでも悶えられるような作品になっていれば幸いです。あと、こういう先生おもいきりツボにハマる、という同士な方は一言叫んでくださると私が喜びます(笑)

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 ++ 告白はおあずけ ++

 授業が終わり、昼休み開始のチャイムと共にみんなが続々と特別教室を出て行くなか、私は大急ぎで黒板の字を写し取っていた。
 教卓にもたれて、黒板消しを手に一人の教師がじっと私をにらみつけている。スーツが汚れるという理由だけで着ているらしい白衣の白さが、先生の視線と共に目に痛い。
 私だけに向けられている好きな人の視線だけど、今の私にはプレッシャーにしかならない。もちろん熱く見つめ合う余裕もない。
 先生がにらむのも呆れるのもわかる。私が毎回こうして一人残って大慌てで黒板を写し取っているからだ。黒板を消さないことには先生は職員室にも戻れないらしい。なぜか、消しておけ、と私を放って戻ることもしない。先生はいつも必ず律儀に私の終わりを待って黒板を消すのだ。それが先生の優しさなのかどうかはわからない。
「友達もいないのか……」
 嫌味なのか単なる呟きなのかはわからないけど、わずかに哀れみさえ含む先生の言葉は聞き捨てならない。
「います。ちゃんと友達います。ただ、この選択授業内にはいないだけです」
「口より手」
「喋りながら動かしてます」
 黒板に目をやるたびに先生が視界に入る。これが悪い。だからいつもノートをとる手が止まってしまうのだ。
 ため息をついて私から窓へと視線を転じた先生は、黒板消しをブラブラと揺らし始める。
「お腹すいたな、とか?」
 先生が何を思っているのか当てたいな、と思いながら、また怒られないように手を動かしたまま問いかける。
 おもむろに先生が黒板を消し始めた。話す余裕があるなら消す、と言わんばかりだ。
「もう終わるから大丈夫ですよ」
 先生の真面目さ――いや、堅物さを表すかのように黒板消しは几帳面な動きで白い文字を消していく。乱暴に消さないからチョークの粉もそれほど飛び散らない。
 シャーペンやノートをまとめながら、白衣の背中を見つめる。
「お昼ご飯は何を食べるんですか?」
「頼んである」
「お弁当作りましょうか? 先生のためなら早起きします」
「いらん」
「じゃあ、一緒に食べます?」
「無理だ」
 先生と私は付き合っているわけではない。それ以前に私はすでに一度、先生にふられてしまっている。でも、告白する以前と先生の態度が全く変わらないので、バレた気持ちを隠す必要がなくなった私はストレートに口説く方向に切り替えた。
 先生とこんなやり取りをする女子は私くらいだろう。そう思うと先生のきつい言葉すら嬉しい。
 微塵の期待も許してくれない先生だからこそ、他の女子の存在におびえることもない。
 黒板を消し終え、肩などを手で払って粉を落とした先生が教科書を取る。
 二人きりの時間が終わる。まだ、もうちょっと待ってほしい。
「携帯電話は持っているか?」
 意外にも先生から声をかけてきた。
 教室を出て行くだろう先生を急いで追いかけるつもりだった私は立ち上がったまま、えっ、とマヌケな顔で返答するはめになってしまった。
「ここで出したら没収……ですか?」
「違う。黒板を撮ればいい」
「あ! カメラ」スカートのポケットから携帯電話を取り出して「ついてます。撮れます」と先生の名案に興奮して詰め寄る。
「授業終了後なら許可する」
「ありがとうございます。……あ、でも」
 写真なんて撮ってしまったら、もう先生とこんな時間が持てなくなる。携帯のカメラという提案をするほどに先生は私のことを迷惑だと思っていたのだろうか。いや、疑問の余地はない。私は好きで楽しんでいるけど、先生にとっては単なる一生徒にすぎないのだ。
 携帯電話を開いて、待ち受け画面を先生に示す。
「ここ、先生の写真にしたらダメですか?」
「気持ちが悪い」
「じゃあ、いっそツーショット写真を撮りましょう」
 返される先生のため息は予想済みだ。
「まだ、諦めていなかったのか」
 ふいに漏らされたこの言葉は予想外。
 ノートのことも、私の気持ちのことも、先生は一気に今日で片を付けようとしているのだろうか。
「うん、なんか全然、ダメみたいです。先生、奥さんも彼女もいないんですよね?」
「ああ、いない」
「好きな人はいますか?」
 私の顔色を伺うようにわずかにためらいを見せた後、いる、とだけ先生は呟いた。
 今までの先生の態度や言葉をまとめるなら――好きな人がいるから諦めろ、だろう。
「早く告白して彼女作ってくれたらいいのに」
 からかうように言って笑ってはみたものの、渇いてかすれた情けない声しか出てこない。
「一年半経てば言う」
「その人に振られたら私のところどうですか? 一年半後なら私も卒業します」
 笑いを重ねたところで渇いた声は増すばかりだ。
「お前が諦めるなら……振られる」
「先生なんか、振られればいい」
 そう言ってからハッと気づく。私の気持ちと先生の好きな人の関係性に。
 一年半後、私の卒業、先生の告白――。
 でも、この考えは都合が良すぎる。私の期待が混じった幻想かもしれない。なにより、もしこの答えが正解だとすれば、先生はどうして私の気持ちに応えてくれないのだろう。
「先生の好きな人、わかってしまいました、私。だから、先生の気持ち言ってください」
 私にバレるのは想定内だったのか、先生はゆっくりと首を振った。
「駄目だ。言うつもりはない」
「一年半後、卒業すれば、ですか? 生徒のうちはダメってことですか?」
「そうだ」
 直接的な言葉を聞いたわけではないのに、胸にじわじわと喜びがこみあげてくる。信じられない気分だけど、先生と両想いなのだ。なのに『彼女』でも『彼氏』でもない。気持ちのままに動けない距離が存在する。
 下ろしていた携帯電話を再び先生へと見せる。
「じゃあ、待ち受け……」
「気持ち悪い」
「ツーショット」
「いらん」
 隙も容赦もない相変わらずの返答に、もどかしい思いを強いられている私の中で何かがキレた。
 先生へと一歩詰め寄って、目上の無表情をにらみつける。
「私のこと好きじゃないんですか? だいたい、こんなにバレてるのに告白はしないって何ですか、それ。私は、先生に飛びつきたいのも、本当は隠し撮りして待ち受けにしたいのも、それ以外にもいろんなことをいっぱい我慢してるんです。……なのに、先生ずるい」
 詰め寄った時の勢いを失って、私は先生の足元を見るようにうなだれる。
 ふわりと鼻をくすぐる先生の香り。もっと強くこの匂いに包まれたい。
「顔を上げろ」
 言われた通りにすれば、見下ろす先生との顔の近さに少し驚いた。
「我慢しているのが自分だけだと思うな」
 合わせた視線が近づいてくる。
 この流れはもしかして――。
 そう思って瞼を下ろすと、かすかな風と共に先生の香りが逃げていった。
 慌てて目を開ければ、先生は教室を出ようとしている。
「あ! 純粋な女子高生をもてあそばないでください」
「知らん」
「私を好きなくせに」
 無言こそが肯定。そんな言葉が頭をよぎって、思わず頬がゆるむ。
 あくまで無言を貫く頑固さに笑いながら、足早な愛しい人の白い背中を追いかけた。


 ◇終◇


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読んでくださってありがとうございます。
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今後の創作の励みにさせていただきます。
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無題
先生と生徒ネタ、大好物です。
Sっぽく大人な雰囲気なのにどこか可愛い(幼い)感じがする先生と、元気でハキハキしているけど、どこか大人びた感じがする生徒で、とてもお似合いのカップルだと思いました。
私的には、S彼氏の焼もちが好きなので、二人のそんなお話しも読んでみたいです。
killerqueen 2011/04/16(Sat)23:56:08 編集
Re:無題
感想をありがとうございます。
今回のような先生はむしろかわいくない部類かと思いながら書いてたので、かわいいと感想をいただいてちょっとびっくりしています。いっそふてぶてしいかと思ってたのですが…(笑)
読んでみたいの声もありがとうございます。ただ、私はそういう声をプレッシャーにしてしまう未熟者なので、申し訳ないですがこれからも私がマイペースに吐き出す衝動的作品を楽しんでいただければ幸いです。
【2011/04/17 23:36】
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