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関係:先生と生徒

何ヶ月ぶりでしょうか、SSを書いたのは。もとい完成させたのは。パソコンのキーボードの調子も良く、暖かい夜に創作意欲をかきたてられたので、本当に久しぶりにSSを書いてみました。久しぶりすぎて勘や筆力がなまりまくっていて、衝動はあれどキーを打つ指が進まなかったのがもどかしかったです。
今回はひとえにドSな男性が書きたかった。これにつきます。きっかけはデビルメイクライ3というPS2ゲームに出てくるバージル兄です。昔にクリアしたことはあるのですが、最近久しぶりにプレイしたら、彼の残忍さや信念や日本刀や無愛想具合やらのかっこよさにおおいに創作意欲や乙女心が触発されました。ラスト近辺はこれまたゲームの薄桜鬼の風間さんがよぎらなくもないですが(笑)
最終的には何が書きたかったんだと自分でも思わないでもないですが、書きたかった程度のS度合いはそれなりに書けたんではないかと密かに自己満足。でも、私の中のS男性書きたい意欲がまだおさまらないので、というかまだまだS成分が足りないので今度はカップルに挑戦してみたいと画策していたり……。相変わらずそこらへんは未定です。
本当に久しぶりなので反応など色々とドキドキ不安ですが、私の衝動が少しでも伝われば幸いです。ドS男性好きさんがいればさらに嬉しいです(笑)

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 ++ 噂 ++

 私の目の前に立つ美形の先生には、何でもさせてくれる――という女子生徒の間だけで広まっている噂がある。
 過激なものからささいなものまで内容はさまざまだけど、してくれる、わけではなく、あくまで『させてくれる』らしい。
 この空き教室は先生の呼び出し場所として有名な場所だ。カーテンは全て閉じられ、夕方の光がやんわりと差し込む教室は、確かにいろいろな行為に及ぶに良いムードをかもしだしている。
「キス、くわえる、突っ込む――どれだ?」
 じっと黙ったままの私に先生が先にしびれを切らせた。さっさと済ませろ、と腕を組んだまま、いらだたしげな目を私へと向ける。
 あの噂はやはり本当だったのだ。
 現実として先生の口から吐き出された言葉たちに頭と心を殴りつけられ、直後、それらの言葉の意味や光景が脳裏によぎって頬が熱くなる。
 先生を好きな私には魅力的な話だけど、残念ながら私が求めているものはどれにも当てはまらない。
「話がしたいんです」
「苦情、罵倒……」
 どうやら、先生の中で定番の流れというものができているようだ。
「あ、いえ、そうじゃなくて」急かす先生の言葉を遮った。「普通に、会話を」
 かすかに目を見開いた先生は、やがて大きく息を吐き、組んでいた腕をほどいて、なぜか私に近づいてくる。
「噂を知っているんだろう?」
「し、知ってます」
 私が一歩逃げると先生は足を止めた。
「会話など、いつでもできる」
「噂みたいなこと、しないとダメですか?」
 手近な椅子の埃を適当に払い先生が座る。
 妙な威圧感に押されていた私は、先生が座ったことに安心した。私から近づかない限りは先生からこちらに来ることはない。自然とため息が漏れた。
「怖いなら逃げ出せばいい」
 先生の言葉で、強くスカートを握り締めていることに気がついた。
 でも、これは怖いからじゃない。
 スカートから手を放したものの、やり場に困った指が行き着いた先は髪。
「怖いわけじゃないんです。なんていうか、ドキドキとか緊張とかそんなようなもので……」
 緊張のままに前髪をいじっていたら、袖のボタンに引っかかってしまった。簡単に取れると思っていたのに、それは思ったよりも手強く、先生と話すどころではなくなった私は両手を使ってほどきにかかる。
 あれ、などと独り言をもらしながら苦心する私はかなりまぬけだろう。ちらりと垣間見た先生の冷静な視線が心に痛い。笑ってくれたほうがまだ救われる。
 結局、無事にボタンから髪はほどけたけど、先生の視線と室内の沈黙を破るきっかけが見つからない。
「何が聞きたい」
 いきなり響いてきた声に体がびくりと震えてしまった。
 口数の極端に少ない先生相手に、何の会話の糸口も用意していなかった自分の不用意さに気づき、頭の中で必死に質問を探す。
「彼女!」
 とっさに浮かんだ単語を口に出してから、その質問のくだらなさに尻込みして、
「ってのは……なかったことにしてください。ごめんなさい」
 慌てて手を振って断りを入れる。
「いれば噂になる行為はしない」
 くだらないと一蹴されるとばかり思っていた私は、先生が答えてくれたことに驚き、またも浮かんだ言葉がそのまま口から飛び出した。
「大切にするんですね、ちゃんと、意外に」
「俺の気持ちが向けば、な」
 私の失言など全く気にすることもなく、先生は表情を変えずに答えを返してくる。
 先生は相変わらず面倒くさそうな顔を見せてはいるけど、私は、先生との会話が成立していることに、二人で話せていることに嬉しくなった。
「噂みたいなことして、気持ちが向いたりしないんですか?」
「全くない」
「綺麗な女子とか……」
「生徒は生徒だ。興味ない」
 端的に答える先生の口調は今に始まったことではないのに、この一言だけで、私の頭に浮かんでいた質問などが一気に消えていった。
 先生と生徒という壁が改めて大きく私の前に立ちはだかる。乗り越えられるほどの勇気がない未熟な私は、何か言わなければ、と口を開くけど、そこから声がなかなか出てこない。
「面倒ごとを背負う覚悟がないなら、やめておけ」
「えっ?」
「遊びで済ませるつもりもないんだろう?」
「どういうこと……ですか」
「いや、遊びなどできるタイプでもなさそう、か」
 そこで気づいてしまった。私がとある気持ちであることを前提に先生が話しているのだ、と。
 先生は私の気持ちを――先生を好きだとわかっているのだ。
 ただ、先生の言ったことが『拒否』なのか『忠告』なのか、私にはその真意がわからない。
「本気の気持ちは迷惑ですか?」
 私を見上げた先生はわずかに口の端を上げた。
「面倒な噂から俺を引き離してくれるのか?」
 愛想笑いではない先生の笑みにしばし私は見惚れてしまう。
 大人の駆け引きなんて私は知らないから、口から出るのは素直な気持ちだけ。
「彼女でもない人と先生がキスとかするのはイヤです」
「俺は教師だ。噂もある。手を引くなら早いうちがいい」
「たぶん、もう手遅れです。忘れるとか手を引くとか簡単にできません」
「なるほどな」
 立ち上がった先生は、かすかに嬉しそうな笑みを浮かべて、私のほうへと歩み寄って身をかがめる。
「いいだろう。興味がわいた。噂を払拭できるように善処しよう」
 過剰なほどに息を含んだ声でささやかれ、私は思わず手で耳を押さえる。
 ふっ、と軽い笑いを漏らした先生は、戸惑う私を残して教室を出て行った。
「だから、結局……どういう、こと?」
 答える者のいない教室で、熱くなった頬を持て余しながら私は一人呟いた。


 ◇終◇


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