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関係:先生と元生徒
場所:どこでも
内容:久しぶりに先生と会った私。先生を好きだったことを告白する。――が、先生は「過去のことになってんだな」と寂しそうに笑った。
今日(日付的には昨日)、数年ぶりの友達にデパートでバッタリと会ったのを回想していたら、ふとこの話が思い浮かびました。
現役学生さんよりも、学生を過ぎた方に楽しんでいただける……と思います。
読んでみようと思った方は「SSを~」をクリック
場所:どこでも
内容:久しぶりに先生と会った私。先生を好きだったことを告白する。――が、先生は「過去のことになってんだな」と寂しそうに笑った。
今日(日付的には昨日)、数年ぶりの友達にデパートでバッタリと会ったのを回想していたら、ふとこの話が思い浮かびました。
現役学生さんよりも、学生を過ぎた方に楽しんでいただける……と思います。
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++ 過去形 ++
学生時代、告白できずに終わった恋があった。いや、「あった」なんて過去形じゃなくて、実はこっそり現在進行形。
間違えるはずもない後姿を見つけた時、私は思わず声をかけていた。元気な元生徒として。
「わー、先生、久しぶり」
「うるせぇ。いっちょまえにスーツなんぞ着やがって」
うっとうしそうだけど実はまんざらでもないような。振り向いた先生はあの頃と同じ顔を見せた。
高校を卒業してから二年間着続けているスーツは綺麗ではないけれど、少しでも大人に見えていればいいな、とふと思う。私よりも年上の先生にお似合いだと嬉しい。
「社会人なんだから。ね、ほら、スカートから覗く足がセクシーだと思わない?」
あまり自信のない足を前に出す。肩にかけていたバッグがずれてきたので、手で引き上げようとした瞬間、先生にバッグを奪われた。
「やけに重いな。どうせ、よけいな物でも入ってんだろ」
私がしていたように、先生は肩にバッグをかける。重さを確かめるためだと思っていたけど、どうやら、そうではないらしい。そして、大人になった私に先生はものすごく優しい。甘えることにした。
「ポーチとかファイルとか……制服も入ってるかな」
「これを毎日か?」
「制服は週末だけ。週休二日以外は毎日」
「そりゃ、まあ、ご苦労さん」
先生の手が私の背中をぽんぽんと叩いた。バッグの重さにはもう慣れていたけど、それだけのことで先生から労いの言葉をもらえるとは思わなかった。
上司やいろんな男性を職場で見ているせいだろうか。先生が一人の男性に見える。だから、気持ちをカミングアウトしたくなった。
「先生、知ってた?」
「ああ? なんだ?」
「……ずっと、好きだったこと」
「誰が?」
「うん……私、が」
「全く、と言えば嘘になるくらいは、な」
「そんなそぶり全然見せてくれなかったのに」
「見せれば、お前……」
先生が言葉を切る。
その意味に気づいた。
「期待してた。……先生、正解」
本当は今も期待している。でも、まだ想ってるなんて言えない。
手を差し出した。バッグを受け取るために――。
しばらく私の肩を離れていたバッグはやけに重い。受け取った瞬間よろけた私を「大丈夫か?」と笑った先生は、真顔になってぽつりと言った。
「過去のことになってんだな。二年も経てばそうなる、か」
「えっ?」
聞き返すと、
「お前みたいな歳は一年でも色々と変わる。二年はでかい、ってな」
と先生は少し悲しそうに微笑んだ。
「先生は……変わった?」
「いや、あんまり変わらねぇな」
「私への気持ちも? 今も、って言ったら先生どうする?」
不意打ちをくらったような表情を浮かべた後、先生は声を出して笑う。
「……そりゃ、重症だな」
「答えになってない」
「重症同士、付き合ってみるか?」
「なに、それ?」
「ロリコンの気はないが多少は気になってたんだよ。久しぶりに会って……」
そこで先生が目をそらす。
「会って?」
「その足とスーツにそそられた」
バッグの重みがどこかへ行ってしまった。少しだけポーズをとる。
「大人っぽくなった?」
「……知らねぇな」
私の前には、子供のように拗ねる――男性がいた。
◇終◇
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読んでくださってありがとうございました。
コメント欄などから感想の声を聞かせていただけると嬉しいです。
++ 過去形 ++
学生時代、告白できずに終わった恋があった。いや、「あった」なんて過去形じゃなくて、実はこっそり現在進行形。
間違えるはずもない後姿を見つけた時、私は思わず声をかけていた。元気な元生徒として。
「わー、先生、久しぶり」
「うるせぇ。いっちょまえにスーツなんぞ着やがって」
うっとうしそうだけど実はまんざらでもないような。振り向いた先生はあの頃と同じ顔を見せた。
高校を卒業してから二年間着続けているスーツは綺麗ではないけれど、少しでも大人に見えていればいいな、とふと思う。私よりも年上の先生にお似合いだと嬉しい。
「社会人なんだから。ね、ほら、スカートから覗く足がセクシーだと思わない?」
あまり自信のない足を前に出す。肩にかけていたバッグがずれてきたので、手で引き上げようとした瞬間、先生にバッグを奪われた。
「やけに重いな。どうせ、よけいな物でも入ってんだろ」
私がしていたように、先生は肩にバッグをかける。重さを確かめるためだと思っていたけど、どうやら、そうではないらしい。そして、大人になった私に先生はものすごく優しい。甘えることにした。
「ポーチとかファイルとか……制服も入ってるかな」
「これを毎日か?」
「制服は週末だけ。週休二日以外は毎日」
「そりゃ、まあ、ご苦労さん」
先生の手が私の背中をぽんぽんと叩いた。バッグの重さにはもう慣れていたけど、それだけのことで先生から労いの言葉をもらえるとは思わなかった。
上司やいろんな男性を職場で見ているせいだろうか。先生が一人の男性に見える。だから、気持ちをカミングアウトしたくなった。
「先生、知ってた?」
「ああ? なんだ?」
「……ずっと、好きだったこと」
「誰が?」
「うん……私、が」
「全く、と言えば嘘になるくらいは、な」
「そんなそぶり全然見せてくれなかったのに」
「見せれば、お前……」
先生が言葉を切る。
その意味に気づいた。
「期待してた。……先生、正解」
本当は今も期待している。でも、まだ想ってるなんて言えない。
手を差し出した。バッグを受け取るために――。
しばらく私の肩を離れていたバッグはやけに重い。受け取った瞬間よろけた私を「大丈夫か?」と笑った先生は、真顔になってぽつりと言った。
「過去のことになってんだな。二年も経てばそうなる、か」
「えっ?」
聞き返すと、
「お前みたいな歳は一年でも色々と変わる。二年はでかい、ってな」
と先生は少し悲しそうに微笑んだ。
「先生は……変わった?」
「いや、あんまり変わらねぇな」
「私への気持ちも? 今も、って言ったら先生どうする?」
不意打ちをくらったような表情を浮かべた後、先生は声を出して笑う。
「……そりゃ、重症だな」
「答えになってない」
「重症同士、付き合ってみるか?」
「なに、それ?」
「ロリコンの気はないが多少は気になってたんだよ。久しぶりに会って……」
そこで先生が目をそらす。
「会って?」
「その足とスーツにそそられた」
バッグの重みがどこかへ行ってしまった。少しだけポーズをとる。
「大人っぽくなった?」
「……知らねぇな」
私の前には、子供のように拗ねる――男性がいた。
◇終◇
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プロフィール
HN:
水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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