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SS
関係:お嬢様とボディーガード
場所:パーティー会場
内容:周りには内緒で想い合っている二人。パーティー中、目を合わせてもくれない彼。私がとった行動は――。

本当は眠ろうと思ってたんです。でも、某アーティストの新曲のPVを見たら、ものすっごく「内緒の立場違いの恋」を書きたくなったのです。ヒントは「目も合わせてくれない彼」と「落ちるグラス」です。有名なアーティストの歌なのでわかる人はわかるかもしれません。
眠気が頭を漂っている中で書いたので一部、文章がおかしいところもあるかもしれませんが、衝動書きってことで……。眠気さえなければもっと複雑に入り組んだ短編でも書いたんですけどね。

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 ++ 秘密 ++

 ドレスに染みがついてしまうことなんて、グラスを倒した瞬間からわかっていた。
 想い合っているのに周りには内緒で、彼は私と一度も目を合わせてくれない。だから、テーブルの上に置いてあったグラスを指で弾いた。
「お嬢様、替わりのドレスがありますから……」
 若い家政婦が慌てて来ているのに、どうして彼はあの場所から動こうとしないのだろう。ボディーガードである彼の仕事はわかっているけど、内緒にすることに疲れた私の思考は彼を責める。
「ドレスはいいの。あの男を呼んで」
 視線で彼を指し示す。
「えっ?」
「あそこに突っ立っている男を呼んで。ドレスは自分で何とかするわ」
「……はい」
 家政婦である彼女はパーティー会場を見回している彼の傍へ行き、私の顔をちらりと見ながら何事かを囁いている。やがて、彼がこっちへ歩いてきた。
「お嬢様、何かご用ですか?」
「ドレスが汚れたから着替えるわ。手伝ってちょうだい」
「それなら、家政婦を呼んできます」
 戻ろうとする彼の胸ぐらをつかんで引き寄せる。
「いいから、来て」
 私のただならぬ様子を察したのか、彼が後ろについて歩き出す。


 クローゼットに囲まれた部屋に入った私は、彼が入るのを見届け、ドアの鍵をかけた。
「何を……?」
「だって、内緒なんでしょ?」
 彼は、何が、とは聞かなかった。
 私の行動の裏にある真意を読めないのか、彼の目が警戒を剥き出しにしている。彼の前に立った私が、その腕をそっと撫でるとびくりと体が震えた。
 屈強なはずの彼が怯える様子に思わず笑いがもれてしまった。
「私が襲っても、あなたなら簡単に突き飛ばせるじゃない」
「抵抗をするつもりは……ありません」
「あら、じゃあ素直に襲われるつもり?」
「はい」
「ふーん……」
 試すようにネクタイに指をかけたけど、彼は直立不動の姿勢を崩さない。緩めたネクタイをぎゅっと締めてやった。
「パーティーの最中に襲う趣味はないわ。ただ、聞きたいことがあるの」
「何でしょう?」
「目を……」
「目?」
「どうして、目を合わせてくれないの?」
 私はこんなかわいいことを言うキャラではない。羞恥のせいか、自然と早口になった。
「……合っていませんでしたか?」
「合ってないわ。一度も私を見ていない」
 彼の手がそっと私の頬に触れた。手をつないでいるわけではないし、抱きしめられているわけでもないのに、体全体を包まれているような気分になった。
「見ていました、私も」
「私を?」
「はい」
「我慢しているのは私だけじゃない、ということね?」
「……はい」
 頬に添えられている彼の手に、自分の手を重ねる。
「パーティーが終わったら……抱きしめて」
「はい」
 頷いた彼は、するりと私の手から離れ、部屋を出て行った。


 ◇終◇

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