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関係:年の差カップル
場所:彼の部屋
内容:眠る彼の手を取って泣く私。「声を聴かせて……」
ネット友人が更新したイラストを見た時に浮かんだイメージをSSにしたものです。「聴かせて」というタイトルで、彼の手を頬に押し付けて泣く女の子のイラストでした。切ない感じで書かれたという絵なのに、とんでもないハッピーエンドオチをつけた私……(笑) 悲恋にしたくはないな、と思いながら絵を見ていたら浮かんできたので、ついつい文章にしてしまいました。
読んでみようと思った方は「SSを~」をクリック
場所:彼の部屋
内容:眠る彼の手を取って泣く私。「声を聴かせて……」
ネット友人が更新したイラストを見た時に浮かんだイメージをSSにしたものです。「聴かせて」というタイトルで、彼の手を頬に押し付けて泣く女の子のイラストでした。切ない感じで書かれたという絵なのに、とんでもないハッピーエンドオチをつけた私……(笑) 悲恋にしたくはないな、と思いながら絵を見ていたら浮かんできたので、ついつい文章にしてしまいました。
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ベッドで眠る彼の手をとり、自分の頬へと押し付ける。
彼の指は力なく私の頬を包み込む。
「目を開けて……私を見て」
だけど、彼の目は閉じられたまま。
「声を聴かせて……」
うっすらを開いた彼の口からは何の声も洩れてはこない。
私の頬、そして彼の手を涙が伝い落ちる。
「ねえ、私の名前を呼んでよ」
頬に押し付けた手を抱き寄せる。
――と、彼の目が開いた。
「……おいおい」
「目覚めたのね」
私の涙は止まらない。
頬から手を離した彼は、上半身を起こし、けげんな顔で私を見た。
「そりゃ、寝てただけだからな」
「どうしよう、涙が止まらない……」
私の前にティッシュペーパーが箱ごとドンと置かれた。三枚ほど取って目を拭う。
ベッドから手を伸ばし、彼はゴミ箱を引き寄せてくれた。
「俺の手を取って何を始めるかと思いきや……なんで泣いてんだ、てめえは」
テーブルに置いた本を取って彼へと見せる。今年の文化祭で行う演劇の台本だ。
「劇の練習?」彼が台本を開いて中を見る。「このシーンか。……てめえは俺を勝手に殺して泣いてやがったのか」
死んだ恋人の手を取って彼女が泣くというラストシーンがあるけど、これがクラスメイトの男子相手だと意外と照れくさい。練習にも熱が入らないので、実際の恋人である彼で試そうと思ったのだ。でも……。
「練習のつもりだったんだけど、もし死んじゃったら、と思ったら泣けてきちゃって」
ぽん、と彼の手が頭上に乗せられる。
「生きてんだろうが」
「し、死なないでね」
頭上にある彼の手に自分の手を重ねると、また、涙が出てきてしまった。
「毎日をかろうじて生きてるサラリーマンになんてこと言いやがるんだ」
ティッシュを丸めた彼が乱暴に私の目を拭く。
その優しさにまたもや涙は溢れてくる。嗚咽まで混じってきてしまった。
「悪い想像はもうやめろ。さっさと止めやがれ」
「悪い想像なんてもうしてない。だってさ、優しいから嬉しくて」
水分を含んだティッシュをゴミ箱に投げ入れ、彼が呆れたようにうなだれる。
「拭いてやれば泣く。寝ていても泣く。……俺にどうしろって言うんだ」
腕を広げた。
「ぎゅって……してくれたら止まる」
「……子供か、てめえは」
「子供……だし」
彼の手に肩を引き寄せられる。
ぽん、ぽん、と大きな手はあやすように私の頭を叩いている。
「よけいに……泣きそう」
「……離すぞ」
「嫌だ」
離されないように、と私は彼の体に腕を回した。
◇終◇
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読んでくださってありがとうございました。お時間と気力が向かれましたら、感想など聞かせてください。
ベッドで眠る彼の手をとり、自分の頬へと押し付ける。
彼の指は力なく私の頬を包み込む。
「目を開けて……私を見て」
だけど、彼の目は閉じられたまま。
「声を聴かせて……」
うっすらを開いた彼の口からは何の声も洩れてはこない。
私の頬、そして彼の手を涙が伝い落ちる。
「ねえ、私の名前を呼んでよ」
頬に押し付けた手を抱き寄せる。
――と、彼の目が開いた。
「……おいおい」
「目覚めたのね」
私の涙は止まらない。
頬から手を離した彼は、上半身を起こし、けげんな顔で私を見た。
「そりゃ、寝てただけだからな」
「どうしよう、涙が止まらない……」
私の前にティッシュペーパーが箱ごとドンと置かれた。三枚ほど取って目を拭う。
ベッドから手を伸ばし、彼はゴミ箱を引き寄せてくれた。
「俺の手を取って何を始めるかと思いきや……なんで泣いてんだ、てめえは」
テーブルに置いた本を取って彼へと見せる。今年の文化祭で行う演劇の台本だ。
「劇の練習?」彼が台本を開いて中を見る。「このシーンか。……てめえは俺を勝手に殺して泣いてやがったのか」
死んだ恋人の手を取って彼女が泣くというラストシーンがあるけど、これがクラスメイトの男子相手だと意外と照れくさい。練習にも熱が入らないので、実際の恋人である彼で試そうと思ったのだ。でも……。
「練習のつもりだったんだけど、もし死んじゃったら、と思ったら泣けてきちゃって」
ぽん、と彼の手が頭上に乗せられる。
「生きてんだろうが」
「し、死なないでね」
頭上にある彼の手に自分の手を重ねると、また、涙が出てきてしまった。
「毎日をかろうじて生きてるサラリーマンになんてこと言いやがるんだ」
ティッシュを丸めた彼が乱暴に私の目を拭く。
その優しさにまたもや涙は溢れてくる。嗚咽まで混じってきてしまった。
「悪い想像はもうやめろ。さっさと止めやがれ」
「悪い想像なんてもうしてない。だってさ、優しいから嬉しくて」
水分を含んだティッシュをゴミ箱に投げ入れ、彼が呆れたようにうなだれる。
「拭いてやれば泣く。寝ていても泣く。……俺にどうしろって言うんだ」
腕を広げた。
「ぎゅって……してくれたら止まる」
「……子供か、てめえは」
「子供……だし」
彼の手に肩を引き寄せられる。
ぽん、ぽん、と大きな手はあやすように私の頭を叩いている。
「よけいに……泣きそう」
「……離すぞ」
「嫌だ」
離されないように、と私は彼の体に腕を回した。
◇終◇
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読んでくださってありがとうございました。お時間と気力が向かれましたら、感想など聞かせてください。
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お久し振りです
お久し振りです。覚えていらっしゃるでしょうか。
今回の話も私のツボにクリーンヒットなのですが(笑)
連日の衝動書きSSお疲れ様です。最近のものはお題からこのSSまで読ませて頂いているのですが、どれも私の大好物ばかりで。はい。もう大好きなんです。
決められないくらい、全てのこのサイトに載っている小説たちが好きです。はい、告白です。
あつ!!もちろん素敵な小説たちを生み出して下さる管理人様が一番好きで尊敬しています(照れっ
あと管理人様のご友人様や身近な方々様のアイディアも最高です。形にできる管理人様も最高です。
なんだか鬱陶しく、馬鹿馬鹿しいことをグダグタと吐いてしまってすいません。
これからも、陰ながらSSとお題・もちろん小説を読ませて頂きつつ応援しておりますので頑張ってください。では長々と申し訳ないです。失礼します。
今回の話も私のツボにクリーンヒットなのですが(笑)
連日の衝動書きSSお疲れ様です。最近のものはお題からこのSSまで読ませて頂いているのですが、どれも私の大好物ばかりで。はい。もう大好きなんです。
決められないくらい、全てのこのサイトに載っている小説たちが好きです。はい、告白です。
あつ!!もちろん素敵な小説たちを生み出して下さる管理人様が一番好きで尊敬しています(照れっ
あと管理人様のご友人様や身近な方々様のアイディアも最高です。形にできる管理人様も最高です。
なんだか鬱陶しく、馬鹿馬鹿しいことをグダグタと吐いてしまってすいません。
これからも、陰ながらSSとお題・もちろん小説を読ませて頂きつつ応援しておりますので頑張ってください。では長々と申し訳ないです。失礼します。
Re:お久し振りです
お久しぶりです。もちろん覚えてますよ。一ヶ月程度で忘れるほど情のない管理人ではありませぬ。一発変換できるほどに覚えてますよ、桔李徒さん。
そうですか、クリーンヒットしましたか。「なのですが」と言われましても私はただ書いただけですので何の責任も負えませんよ?(笑)
いや、別に当サイトの小説の中で一番好きなのを決める必要はなく……全部好きでもかまわないと思いますし、むしろ作者である私はそういうこと言われると舞い上がってしまうほど嬉しいです。ただ、書いている私と小説はこれまた別ものなので、あんまり軽々しく私まで好きにならないほうがいいと思います(何の得もないですし。笑)
私の小説が好きだからこそ友達もアイデアを出してくれるわけで……そう考えると身近にファンになってくれる友人がいるのは本当にありがたくて嬉しいです。ま、面と向かっては言えませんのでここで。私よりも、私が形にしやすいアイデアを出してくれる友人のほうがすごいんですよ。友達から飛び出すネタを聞くたびに「私の小説の雰囲気をつかんでてくれてるんだなぁ」と思います。ああ、嬉しい。
もちろん!桔李徒さんのように読んでくださって、さらに感想送ってくださり、さらに好きになってくださる読者様や訪問者様がいらっしゃるのもものすごく励みになってます。言葉にはなかなかできませんが、SSや小説を公開したり、サイトを運営する気力があるのも皆様あってのものですから。
……あ、なんだか照れくさいのでそろそろ勘弁を(笑)
陰ながらと言わず、堂々と応援してください。桔李徒さんさえよろしければ。あと私に「様」は不要です。小説書いてサイト開いて公開してますが、その裏では普通の人間なので「さん」でどうぞ。熱い感想を頂くのは久しぶりですが嬉しいので長くても大丈夫です(笑)……お気になさらず。
そうですか、クリーンヒットしましたか。「なのですが」と言われましても私はただ書いただけですので何の責任も負えませんよ?(笑)
いや、別に当サイトの小説の中で一番好きなのを決める必要はなく……全部好きでもかまわないと思いますし、むしろ作者である私はそういうこと言われると舞い上がってしまうほど嬉しいです。ただ、書いている私と小説はこれまた別ものなので、あんまり軽々しく私まで好きにならないほうがいいと思います(何の得もないですし。笑)
私の小説が好きだからこそ友達もアイデアを出してくれるわけで……そう考えると身近にファンになってくれる友人がいるのは本当にありがたくて嬉しいです。ま、面と向かっては言えませんのでここで。私よりも、私が形にしやすいアイデアを出してくれる友人のほうがすごいんですよ。友達から飛び出すネタを聞くたびに「私の小説の雰囲気をつかんでてくれてるんだなぁ」と思います。ああ、嬉しい。
もちろん!桔李徒さんのように読んでくださって、さらに感想送ってくださり、さらに好きになってくださる読者様や訪問者様がいらっしゃるのもものすごく励みになってます。言葉にはなかなかできませんが、SSや小説を公開したり、サイトを運営する気力があるのも皆様あってのものですから。
……あ、なんだか照れくさいのでそろそろ勘弁を(笑)
陰ながらと言わず、堂々と応援してください。桔李徒さんさえよろしければ。あと私に「様」は不要です。小説書いてサイト開いて公開してますが、その裏では普通の人間なので「さん」でどうぞ。熱い感想を頂くのは久しぶりですが嬉しいので長くても大丈夫です(笑)……お気になさらず。
SS探しなどにどうぞ
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プロフィール
HN:
水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
在住地:近畿地方
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