忍者ブログ
一応管理人の日記。コメント書き込み歓迎。SSへの要望や催促は禁止。携帯からも見られます。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

関係:お嬢様と父のお抱え運転手
場所:お嬢様の部屋
内容:行く先々についてくる彼。「お嬢様を好きだから」と彼は言うが私はその秘密を知ってしまった。そして部屋で彼と対峙する――。

創作意欲に溢れている今日この頃です。一日に二つもSSを公開することになるとは……。
「駆け引き」と「利用する男」というのを書いてみたくなったのです。利用していたことがバレてもあくまで飄々としている男。なので私の小説に出てくるような男の可愛げは一切ありません(笑)
彼が何を守ろうとしていたのか、彼がどんな情報を仕入れていたのか……などの細かい設定は追及しないでください(汗) 普通に書いたらものすごい陰謀渦巻く物語になりそうなので無理やりSSでおさめてみただけなのです。細かい設定を考えるのが苦手なもので……。
とりあえず、「こんなようなものが書きたかったんだろうな」と温かい目で読み進めてやってください。

読んでみようと思った方は「SSを~」をクリック

------------------------------

 ++ 利用 ++

「止まって」
 私の呼び出しに応じて部屋へ入ってきた彼を、ドア付近の場所へ留まらせる。
 これからの話の進め方や対応によって、彼が私にとって『危険な人物』となる可能性があるからだ。
「お嬢様の近くに行きたいのですが……ね」
 そう言いながらも、肩をすくめて彼は私の制止に応じた。
 父のお抱え運転手である彼の笑みは、その肩書きに似合わぬ妖しい色気を放っている。だが、その目は鋭く私の中を探っている。
「近くに来なくても話はできるわ」
「お嬢様の息を感じられるほど近くに行きたい、と愚かな男は望んでいるのですが叶えてはもらえませんか?」
 冷静に見れば十分に白々しい笑顔と言葉を、どうして幼い私は信じてしまったのだろうか。
「話ができれば十分よ」
「わかりました。我慢しましょう」
 クッションの下に隠したカッターナイフを指で確認し、私は改めて口を開いた。
「一つ、聞きたいことがあるの」
「何でしょう?」
「あなたはどうして私の行く先々へついてくるの?」
「お嬢様の傍にいたいから」
「……どうして?」
「野暮なことを聞かれるんですね。好きだから、ではだめですか?」
「好きじゃない」
「ああ、ふられてしまいましたか……」
 ため息をつき、肩を落としてはいるけど、相変わらず目は私の反応をうかがっている。そう、彼のこの目のおかげで私は気づいたのだ。好きな人の反応を気にする恋愛感情を持っていたからこそ――気づいてしまった。
「違うわ。あなたが私を好きではないのよ」
 彼の表情から全ての『演技』が消えた。
「ここからが本題……ですね?」
 クッションの下に手を入れ、カッターナイフを握る。
「ええ、そうよ。私の行く店で、あなたは店員を誘惑し、お父様の情報を手に入れていた。私のことも聞いていたそうね」
「推測……というわけではなさそうですね」
「嫉妬した女の目、知ってる? それが私に向けられるのよ。問い詰めたら全部話してくれたうえに、彼は私のものだからいい気にならないで、とご丁寧に付け加えてきたわ」
「それはそれは……。罪な男ですね、私も」
「言いなさい。何がしたいの? 何を――企んでいるの?」
 彼が一歩近づく。
 刃を出したカッターナイフを向けた。
「近づかないで」
 だが、彼は止まらない。
「何度も言っているじゃありませんか。お嬢様を好きだからです、と」
「好きじゃない。わかっているわ。嘘をつく必要はなくなったの」
「本当です。そんなものを向けなくても何もしませんよ。いや、できるはずがない」
 袖をまくりあげ、カッターナイフの前に彼が腕を差し出す。
「信じられないなら……刺してみればいい」
 彼の腕に刃をあてた。引けば切れる。だけど、私の手は動かない。
「できない、わ」
「お嬢様を好きだと言いながら、他の女を誘惑する男なのに?」
「でも、全てが嘘じゃない」
「運転手の分際でお嬢様を守ろうとするから嘘をつくはめになった。馬鹿な男です」
 カッターナイフを落とし、刃の代わりに唇をその腕に重ねる。
 彼の腕が強く私の肩を引き寄せた。
「馬鹿な女ですね、あんたも」
「全てを聞かせて」
「何から話しましょう? お嬢様に惹かれたところから?」
 くすりと笑う男の背に、私はそっと手を添えた。


 ◇終◇

-------------------------------------
読んでくださってありがとうございました。このような場ながら感想は歓迎ですので、よかったらコメント欄などから聞かせてください。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
SS探しなどにどうぞ
最新コメント
ながの<返信済
(07/27)
ながの<返信済
(05/05)
killerqueen<返信済
(05/02)
killerqueen<返信済
(04/16)
killerqueen<返信済
(01/28)
プロフィール
HN:
水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
QRコード
忍者ブログ [PR]