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関係:教師と生徒
舞台:雨の日、下校中
内容:ずぶ濡れで帰る主人公。車で通りかかる先生。
読んでみようと思った方は「SSを~」をクリックしてください。
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内容:ずぶ濡れで帰る主人公。車で通りかかる先生。
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++ 雨と車 ++
息が切れてくる。走る足はだるい。
ここまで濡れれば、もう歩いても走っても変わらない。疲れて走ったところで濡れるなら、いっそ歩いて帰ろう。
そう開き直って、私は走ってる足を止めた。堂々と雨の中を歩き出す。
後ろから車が近づいてきた。私が邪魔だからスピードを落としたのだろう、と脇に避けたのにあいかわらずその車は私に合わせるように走っている。
雨に濡れる女子高生が一人、後ろからは車。あまりよろしい状況ではない。
歩く速度を上げた。
私を少し追い越して車が停まった。
開いた運転席の窓から出てきた顔を見て、私は思わず、なんだ、と呟いた。
「先生だったんだ」
「乗ってくか?」
先生は不精ヒゲをさすりながら、煙草の煙を吐き出して言った。
ラッキーと思って近づき、スカートの裾から滴り落ちる水滴を見つめる。前髪から顔へと雨が流れている。
「あっ……いい、です。家、近いし」
「ん?」先生が吸っていた煙草を車の灰皿へと捨てた。「家が近い、だと?」
「……はい」
嘘をついているだけに、先生への返答も弱々しいものになる。本当は歩いてまだ十分以上かかる。
「本当に近いんだろうな?」
「……はい」
「わかった。じゃあ、そこ、どけ」
エンジンを止め、シートベルトを外した先生が傘を手に出てきた。男物の大きな黒い傘が私と先生の上を覆う。
決していいとはいえない目つきで、先生はぎろりと私を見下ろした。
「俺はお前の担任だ」
「はい?」
わざわざ車から出てきて何を言い出すのか。確認するまでもなく、先生が私の担任であることはわかりきっている。
「生徒の住所も知っている」
「あ、バレたってことか」
住所を知っているのに、近いのか、と聞く先生もいじわるだと思う。嘘をついた私がバカみたいだ。
「成績も知っている」
「ですね」
「胸囲も知っている」
「セクハラっ」
即座に突っ込んだ。
冗談だと笑ってくれればいいのに、真顔でそう言うから始末が悪い。
「だから、だ。お前の胸がでかかろうが小さかろうが俺は何とも思わん」
セクハラ、と突っ込む気力すらなくなった。堂々と生徒の目の前で言う教師を、ただただ唖然と見つめる。
「で、何?」
「警戒せず、乗れ」
笑ってしまった。長々と続いた話がこんな終着をむかえるとは思わなかったのだ。
「なぜ、笑う?」
「警戒してたんじゃなくて、ずぶ濡れの私が乗ったら濡れちゃうなと思って……」
私に笑われたのに先生は平然とした顔で、
「濡れても乾く」
と、だけ言った。
「じゃ、乗せてください」
「最初から素直に言えばいいものを……手間かけさせやがる」
助手席へ乗った私を見届け、先生も運転席へ乗る。
「シートベルト」
「装着オッケーです」
エンジンがかけられる。ワイパーが再び動き出した。
「何とも思わん、ってのもひどい……」
先生の横顔を見ていたら思わず出てしまっていた。
「男一人の車に乗れと言われて、警戒してない、も信じられん」
煙草の箱へ手を伸ばした先生は、私をちらりと見て手を引っ込める。
「先生だから、ですよ」
「……そうか?」
「うん、そう」
「……そう、か」
先生の口の端がにやりと微笑んでいた。
◇終◇
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読んでくださってありがとうございました。
こんなところながら感想は歓迎中です。よかったら下のコメントなどから聞かせてください。
++ 雨と車 ++
息が切れてくる。走る足はだるい。
ここまで濡れれば、もう歩いても走っても変わらない。疲れて走ったところで濡れるなら、いっそ歩いて帰ろう。
そう開き直って、私は走ってる足を止めた。堂々と雨の中を歩き出す。
後ろから車が近づいてきた。私が邪魔だからスピードを落としたのだろう、と脇に避けたのにあいかわらずその車は私に合わせるように走っている。
雨に濡れる女子高生が一人、後ろからは車。あまりよろしい状況ではない。
歩く速度を上げた。
私を少し追い越して車が停まった。
開いた運転席の窓から出てきた顔を見て、私は思わず、なんだ、と呟いた。
「先生だったんだ」
「乗ってくか?」
先生は不精ヒゲをさすりながら、煙草の煙を吐き出して言った。
ラッキーと思って近づき、スカートの裾から滴り落ちる水滴を見つめる。前髪から顔へと雨が流れている。
「あっ……いい、です。家、近いし」
「ん?」先生が吸っていた煙草を車の灰皿へと捨てた。「家が近い、だと?」
「……はい」
嘘をついているだけに、先生への返答も弱々しいものになる。本当は歩いてまだ十分以上かかる。
「本当に近いんだろうな?」
「……はい」
「わかった。じゃあ、そこ、どけ」
エンジンを止め、シートベルトを外した先生が傘を手に出てきた。男物の大きな黒い傘が私と先生の上を覆う。
決していいとはいえない目つきで、先生はぎろりと私を見下ろした。
「俺はお前の担任だ」
「はい?」
わざわざ車から出てきて何を言い出すのか。確認するまでもなく、先生が私の担任であることはわかりきっている。
「生徒の住所も知っている」
「あ、バレたってことか」
住所を知っているのに、近いのか、と聞く先生もいじわるだと思う。嘘をついた私がバカみたいだ。
「成績も知っている」
「ですね」
「胸囲も知っている」
「セクハラっ」
即座に突っ込んだ。
冗談だと笑ってくれればいいのに、真顔でそう言うから始末が悪い。
「だから、だ。お前の胸がでかかろうが小さかろうが俺は何とも思わん」
セクハラ、と突っ込む気力すらなくなった。堂々と生徒の目の前で言う教師を、ただただ唖然と見つめる。
「で、何?」
「警戒せず、乗れ」
笑ってしまった。長々と続いた話がこんな終着をむかえるとは思わなかったのだ。
「なぜ、笑う?」
「警戒してたんじゃなくて、ずぶ濡れの私が乗ったら濡れちゃうなと思って……」
私に笑われたのに先生は平然とした顔で、
「濡れても乾く」
と、だけ言った。
「じゃ、乗せてください」
「最初から素直に言えばいいものを……手間かけさせやがる」
助手席へ乗った私を見届け、先生も運転席へ乗る。
「シートベルト」
「装着オッケーです」
エンジンがかけられる。ワイパーが再び動き出した。
「何とも思わん、ってのもひどい……」
先生の横顔を見ていたら思わず出てしまっていた。
「男一人の車に乗れと言われて、警戒してない、も信じられん」
煙草の箱へ手を伸ばした先生は、私をちらりと見て手を引っ込める。
「先生だから、ですよ」
「……そうか?」
「うん、そう」
「……そう、か」
先生の口の端がにやりと微笑んでいた。
◇終◇
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読んでくださってありがとうございました。
こんなところながら感想は歓迎中です。よかったら下のコメントなどから聞かせてください。
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Re:無題
初めまして、しえさん。
ものすっごい嗜好のわかりやすいコメントをありがとうございます(笑)
不精ヒゲいいですよね。意図的にヒゲ生やしている人よりも本当に「剃ろうとは思ってるけど面倒で」というヒゲのほうが愛しいです。でも長すぎると嫌ですが。
不精ヒゲ描写、入れなくてもいいのに入れてしまうくらい私も好きです。
ものすっごい嗜好のわかりやすいコメントをありがとうございます(笑)
不精ヒゲいいですよね。意図的にヒゲ生やしている人よりも本当に「剃ろうとは思ってるけど面倒で」というヒゲのほうが愛しいです。でも長すぎると嫌ですが。
不精ヒゲ描写、入れなくてもいいのに入れてしまうくらい私も好きです。
大好きです��
もう好きです。管理人様の書く先生がみんな格好良くてキュンキュンしますです�~�~ なんかもう�ホ�ホああ 大好きです�c
告白です�Pこんな先生がいたら惚れてしまえるくらいに大大大好きですっ��
こんな素敵なものを見させて頂けて感激です�~�~
告白です�Pこんな先生がいたら惚れてしまえるくらいに大大大好きですっ��
こんな素敵なものを見させて頂けて感激です�~�~
Re:大好きです��
お久しぶりです、桔李徒さん。感想ありがとうございます。あの…ところどころ文字化けしているのですが携帯から打たれてる…わけないですよね?何かマークを入れられている?……でも感想の文は文字化けしてないので読めますしお返事を。
いきなり「もう好きです」という告白にはちょっとびっくりしました(笑)
私が「かっこいい」と思う先生を書いているのだけなのですが、読者様にも惚れていただける先生になっているのは嬉しいです。こんなかっちょええ先生いたら私も惚れてしまいますよ。というか現実にいなかったからこそ妄想も湧くのですが(笑)
こちらこそ、こんなとこのSSにまで感想いただけて感激です♪ 短編ページの端っこにあるとこまでクリックしていただけてどうもありがとうございます。近日、またSSを一つ増やす予定(先生と生徒)ですのでよかったらまたキュンキュンしてください。
いきなり「もう好きです」という告白にはちょっとびっくりしました(笑)
私が「かっこいい」と思う先生を書いているのだけなのですが、読者様にも惚れていただける先生になっているのは嬉しいです。こんなかっちょええ先生いたら私も惚れてしまいますよ。というか現実にいなかったからこそ妄想も湧くのですが(笑)
こちらこそ、こんなとこのSSにまで感想いただけて感激です♪ 短編ページの端っこにあるとこまでクリックしていただけてどうもありがとうございます。近日、またSSを一つ増やす予定(先生と生徒)ですのでよかったらまたキュンキュンしてください。
Re:イイ!!
このシチュエーションは実は私が考えたものではありません。某所でとある方が「雨の中、濡れる生徒と車で通りかかった先生が、乗りなさい、と言うシチュエーション」というリクエストをされたので私はそれに従って妄想したまでなのです、実は。
ただ、勘違い先生は私のオリジナルです(結局どっちなのか。笑) 「自分が生徒に好かれてないのは知っている。警戒されるのは当たり前だろう。……まあ、いいが」と日頃から思ってたりする先生なので、彼女の断り理由も「どうせ警戒だろう」と自虐的に判断したわけです。……という裏設定。おもしろ会話は私の得意分野だったりします(笑)
悶えてくださってありがとうございました♪
ただ、勘違い先生は私のオリジナルです(結局どっちなのか。笑) 「自分が生徒に好かれてないのは知っている。警戒されるのは当たり前だろう。……まあ、いいが」と日頃から思ってたりする先生なので、彼女の断り理由も「どうせ警戒だろう」と自虐的に判断したわけです。……という裏設定。おもしろ会話は私の得意分野だったりします(笑)
悶えてくださってありがとうございました♪
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プロフィール
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水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
在住地:近畿地方
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