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関係:忍者と姫
場所:夜の姫の部屋
内容:姫の部屋に忍者が入ってくる。だが、それは彼ではなく、姫を殺しに来た忍者だった――。
昨夜のSSの感想を今晩に友達からメールでもらったのですが、友達もこの二人をすごく気に入ってくれてまして、彼女の感想を読んで返事を書くうちに、なんだかこの二人をむしょうに書きたくなってきたので、書いてみました。
で、忍者SSを書くとは決めたものの、どんな話にしようかと15分ほど悩んでいたら突然浮かんできた話。
書きながら展開を考えていたのですが、姫が彼を引きとめるために言葉を探すシーンは私もリアルに言葉を探していました(笑)
場所:夜の姫の部屋
内容:姫の部屋に忍者が入ってくる。だが、それは彼ではなく、姫を殺しに来た忍者だった――。
昨夜のSSの感想を今晩に友達からメールでもらったのですが、友達もこの二人をすごく気に入ってくれてまして、彼女の感想を読んで返事を書くうちに、なんだかこの二人をむしょうに書きたくなってきたので、書いてみました。
で、忍者SSを書くとは決めたものの、どんな話にしようかと15分ほど悩んでいたら突然浮かんできた話。
書きながら展開を考えていたのですが、姫が彼を引きとめるために言葉を探すシーンは私もリアルに言葉を探していました(笑)
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++ 願い ++
月の逆光に人影を見た時に、私は彼だと信じて疑わなかった。
人影の手には鋭い光を放つものが握られている。
明らかな殺気を感じたものの逃げることすらできず、私は呆然と向かってくる人影を見つめていた。
彼ではない、とはっきりとわかった瞬間、男は小さな呻き声をあげて足元へ倒れた。首の後ろには細い針が刺さっている。
先ほどはもう本当に死んだと思った。助けられたのだという安堵感が体を包む。
誰が助けてくれたのだろう、などと考えるまでもなく、私の脳裏は一人の人を思い浮かべていた。
背後に気配を感じる。殺気ではない。
「助けてくれて……ありがとう」
顔を見る必要はない。後ろから伝わってくる雰囲気を私は知っている。いや、愛しいとさえ思っている。
「隙がありすぎる」
後ろから歩いてきた彼は、倒れている男の前へかがみこみ、針を抜いて首をつかむ。直後、鈍く嫌な音が響く。首の骨を折ったのだろうか。
「あなた……平気なの?」
忍は、主の命令さえあれば人を殺すことなど造作もない、という。知っていたが、問わずにはいられなかった。
「影は心を持たぬ」
「でも、助けてくれたわ」
彼は何も言わない。
そうだ、彼はいつも何も言わない。だけど、その答えは彼の行動にこそある。沈黙は肯定なのだと受け取ることにした。
男の体を軽々と肩にかつぎ、彼が立ち上がる。
このままでは出ていってしまう。必死に引き止める言葉を探した。
「お礼……。そうよ、助けてくれた礼がしたいわ」
「必要ない」
背を見せた彼が一歩進む。
「私にできることなら、何でもする」
彼は足を止めて振り向く。
「……何でも?」
「そう。でも、人を殺すのは無理よ」
「そのようなこと……我らの本分だ」
彼の声が冷たく響く。
心を持たないのではない。彼は心を封じているのだ。一瞬だけ目に宿った哀しみや諦めは彼に心があることを示している。
「ごめんなさい。お礼なんて嘘よ。私が、あなたに何かしてあげたいの」
「では……」
「ええ、なに?」
彼が私に望んでいることがある。嬉しかった。
顔を外へと向けた彼は、
「死ぬな」
それだけを言って歩き出す。
「わかった。あなたも……死なないで」
「承知」
かすかに頷いた彼は男をかついだまま走っていった。
――死なないで。
強い願いを込めて、もう一度、呟いた。
―了―
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読んでくださってありがとうございました。よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
++ 願い ++
月の逆光に人影を見た時に、私は彼だと信じて疑わなかった。
人影の手には鋭い光を放つものが握られている。
明らかな殺気を感じたものの逃げることすらできず、私は呆然と向かってくる人影を見つめていた。
彼ではない、とはっきりとわかった瞬間、男は小さな呻き声をあげて足元へ倒れた。首の後ろには細い針が刺さっている。
先ほどはもう本当に死んだと思った。助けられたのだという安堵感が体を包む。
誰が助けてくれたのだろう、などと考えるまでもなく、私の脳裏は一人の人を思い浮かべていた。
背後に気配を感じる。殺気ではない。
「助けてくれて……ありがとう」
顔を見る必要はない。後ろから伝わってくる雰囲気を私は知っている。いや、愛しいとさえ思っている。
「隙がありすぎる」
後ろから歩いてきた彼は、倒れている男の前へかがみこみ、針を抜いて首をつかむ。直後、鈍く嫌な音が響く。首の骨を折ったのだろうか。
「あなた……平気なの?」
忍は、主の命令さえあれば人を殺すことなど造作もない、という。知っていたが、問わずにはいられなかった。
「影は心を持たぬ」
「でも、助けてくれたわ」
彼は何も言わない。
そうだ、彼はいつも何も言わない。だけど、その答えは彼の行動にこそある。沈黙は肯定なのだと受け取ることにした。
男の体を軽々と肩にかつぎ、彼が立ち上がる。
このままでは出ていってしまう。必死に引き止める言葉を探した。
「お礼……。そうよ、助けてくれた礼がしたいわ」
「必要ない」
背を見せた彼が一歩進む。
「私にできることなら、何でもする」
彼は足を止めて振り向く。
「……何でも?」
「そう。でも、人を殺すのは無理よ」
「そのようなこと……我らの本分だ」
彼の声が冷たく響く。
心を持たないのではない。彼は心を封じているのだ。一瞬だけ目に宿った哀しみや諦めは彼に心があることを示している。
「ごめんなさい。お礼なんて嘘よ。私が、あなたに何かしてあげたいの」
「では……」
「ええ、なに?」
彼が私に望んでいることがある。嬉しかった。
顔を外へと向けた彼は、
「死ぬな」
それだけを言って歩き出す。
「わかった。あなたも……死なないで」
「承知」
かすかに頷いた彼は男をかついだまま走っていった。
――死なないで。
強い願いを込めて、もう一度、呟いた。
―了―
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プロフィール
HN:
水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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