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関係:教師と生徒
場所:特別教室?

腰の調子が少しよかったので、PCに向かって何かを書こうとイラストサイトを巡っていたら、とあるイラストを見た瞬間に切ないシーンが頭に流れ込んできて、いてもたってもいられなくなって夢中で書きました。
主人公の女の子の切なさを書きたかったのかな、と執筆後に考えたのですが、意外と先生の苦痛ってやつを書きたかったのかもしれません。主人公も苦しいかもしれませんが、先生はもっと苦しかったんじゃないか、と勝手にそんなことを思ったり。
私が書きたかったものはともかくとして、久しぶりのSSながら読者様が入り込めるようなものになっていたら嬉しいです。楽しんでやってください。

ちょっと余談。
放送は終了してしまってますが、某深夜アニメの姫と銀河の妖精の関係にハマってしまいそうです。強気で虚勢はってしまう女の子万歳。ダイヤモンドクレバス最高。
アニメはまだ見てないので二次は書けませんが、体から湧き上がる何かを文章にしたい衝動が止まりません。いい具合の眼鏡男子も出てくるんですよね、そのアニメ。いろんな創作意欲が刺激されてます。

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 ++ 欲しいもの ++

 先生の唇が私のそれから離れる。
 恋人同士のように優しいキス。でも、恋人じゃない。私は先生の彼女じゃない。先生は私の――。
 そして、先生はいつも苦い顔で私の唇を受ける。彼女がいるのに、私とキスすることへの罪悪感だろうか。
「先生、今日こそ……」
「いや、だめだ。それはできない」
 制服のシャツのボタンを外そうとした私の手を、先生がつかんで止める。
 私が欲しいもの――キスのその先。
「彼女じゃなくてもいいです。先生が私のこと好きじゃなくてもいい。それでも、だめですか?」
 先生の腕をつかみ、すがりつくように見上げる。
「君のそれは、俺なんかが奪っていいいものではない」
「私の初めてのキスは奪ったのに……?」
 そう、あの日、突然キスをしてきたのは先生だ。バレンタインのチョコと共に告白した私に返されたのは、言葉ではなく先生の唇。初めての感触に私は虜になり、あの日のキスを脅しに使って、こうして先生と何度も唇を重ねている。
「あれは……どうかしていた」
 私と話せば話すほど、先生の表情は苦痛に染まっていく。
 困らせたいわけじゃない。でも、先生のこんな顔を学校で見られるのは私だけ。そう思ったら止まらない。
 もっと先生を私のものにしたい。私を先生のものにしてほしい。
「どうかしていた、でいいんです。あの日のように、私のもう一つの初めても奪ってください。先生、私のこと嫌いじゃないんでしょ?」
「これ以上言うなら、嫌いになりそうだ」
 嫌わないでください。
 そう言う代わりに再び唇を重ねた。先生はやっぱり黙って受けている。
「先生も男でしょ? 性欲溜まらないほど彼女とやってるの? 何度も、何度も? だから、私なんか必要ないんですよね?」
「最近は会っていない」
「ウソ。だって、女子高生がこんなこと言ってるのに、ずっと拒み続ける理由なんてそれしか思い浮かばない。ほら、若くて大きい胸もあるし……」
 先生の大きな手をとり、私の胸へと導く。シャツと下着ごしにかすかに感じる先生の体温。
 先生が深く息を吐いた。とたんに胸に痛みがはしる。胸を強くつかまれていた。
「君が欲しいのは何だ? 奪えばいいのか? その代わり、君と会う時間はもう終わりだ。校長に告発するなり、俺のことは好きにすればいい」
 今度は、先生が私のシャツのボタンに指をかける。
 ボタンが全てはずれたら先生は私の前からいなくなる。そんな気がして、怖くなっておもわず止めた。
「い、いいです、ごめんなさい、先生」
 安堵するような息をつき、先生の指はボタンをとめていく。
「いや、俺も悪かった。君をここまで追いつめてしまう前にはっきりするべきだった……」
 その言葉だけでわかった。私は先生に、この関係の終わりを宣告されてしまうのだ。
 恋人じゃない先生とのキスは、泣けるほど悲しくて、のめりこむほど甘美だった。恋人じゃなくてもいい。そう思っていたはずなのに、何が私のたがをはずしてしまったのか。
 せめて、先生を苦しめないように私から何かを言わなければ――。
「私は大丈夫です。だから、彼女を大事にしてあげてください。もう、こんな風に会いません」
「それは……困る」
「私が欲しいのは先生の気持ちです。キスじゃなく、それ以上でもなく、ただ先生に私を好きになってほしかった。それだけです」
 心の準備なんてできていない。こんな風に会えなくなるのはイヤだ。キスだけでもいいから、先生の何かを独占していたかった。
 止められないくらい熱いものがこみあげてくる。
 その全部を包み込むように、先生の腕が私にまわされる。あふれる涙はスーツに吸い込まれていく。
「君は、もうそれを手に入れている」
「どういう……」
「彼女とは、とっくに別れた」
「それなら言ってくれれば……」
「踏み込んでしまう前にやめよう、と何度も思った。だが、できなかった。その結果がこれだ」
 先生も私と同じことを考えていた。
 でも、こんな甘美な逢瀬をやめるなど、そんなことできるはずがないのは私もよく知っている。
「初めてのキスで、私は先生に踏み込んでしまったのに?」
「そうだな……。君の唇を奪った時に、俺も踏み込んでしまったのだろう」
 先生の背に腕をまわす。
 ほしいものは手に入れた。この行為におびえることはない。
「もう、好きって気持ちを止めなくていいですか?」
「ああ、今度はきちんと受け止める」
 ゆっくりと先生に顔を近づける。
 恋人としての初めてのキス。
「ただし、校内では適度に……」
「……そんなこと言われたら、キスしにくいじゃないですか」
「今はかまわない」
 俺も同じだ、とつぶやいた先生は、そっと唇を重ねてきた。


 ◇終◇


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読んでくださってありがとうございます。
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今後の創作の励みにさせていただきます。
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