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関係:武将とくノ一
場所:雨の道
今回は裏話というほどたいした話はないのですが、書くきっかけになったのはとある和風恋愛ゲームのPVとYOUTUBEにあったMADです。MADがあまりに素晴らしく「和風の切ないもの書きたい!」というテンションになった時にちょうど雨が降っていた。それだけです(笑)
こんな終わり方にして今後どうするんだ……と自問自答中。
おかしい。最初の構想では、二人が急接近してキスして抱き合った後に相合傘で雨の中を歩いていく、というほのぼの展開&終わり方だったのですが、書いていくうちに勝手に二人が動き出して気づけばこんなことに(笑)
なんだか両想いがさらに困難になってしまったような……。
まあ、私の和ものSSは切ないカップリング書きたい衝動用のようなものなので、ある意味でこの展開は今後が楽しみといえば楽しみかもしれません。
私でさえも、もはやどうなっていくのか全く予想がつかないことにはなってしまいましたが、いつものように楽しんでいただけると嬉しいです。
場所:雨の道
今回は裏話というほどたいした話はないのですが、書くきっかけになったのはとある和風恋愛ゲームのPVとYOUTUBEにあったMADです。MADがあまりに素晴らしく「和風の切ないもの書きたい!」というテンションになった時にちょうど雨が降っていた。それだけです(笑)
こんな終わり方にして今後どうするんだ……と自問自答中。
おかしい。最初の構想では、二人が急接近してキスして抱き合った後に相合傘で雨の中を歩いていく、というほのぼの展開&終わり方だったのですが、書いていくうちに勝手に二人が動き出して気づけばこんなことに(笑)
なんだか両想いがさらに困難になってしまったような……。
まあ、私の和ものSSは切ないカップリング書きたい衝動用のようなものなので、ある意味でこの展開は今後が楽しみといえば楽しみかもしれません。
私でさえも、もはやどうなっていくのか全く予想がつかないことにはなってしまいましたが、いつものように楽しんでいただけると嬉しいです。
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++ 雨 ++
雨が降ると、皆、走って目的地へと急ぐ。
突然の雨に私も急ごうとしたが、あの特殊な走り方をここで披露しては、とたんに人々の視線を集めてしまうだろう。娘の格好に合わせて、手を目の上にかざし、裾を乱さぬ程度に走る。
橋の上にさしかかった時、ふいに前から歩いてきた男に傘をさしかけられた。腰には大小二本を差している。
親切はありがたいが、あまり人と関わりたくはない。そう思いながら顔を上げると、そこには見知った顔が――いや、心の奥では会いたいとさえ望んでいた男がいた。
「やはり、か……」
「……あなた」
「生きていたのか」
「おかげ様で」
燃える城で彼からもらった短刀を帯の隙間から見せる。
傘をさしかけている彼の髪に雨粒が落ち、頬を伝って胸元へと流れていく。
「濡れるわよ」
「近寄ればいい」
「せっかく助かった命を奪われては困るわ」
嫌味でも皮肉でもなく、自然に出てきた冗談だった。彼にも私にも殺気はない。
「ああ、そうだな……」
そう言いながら、彼が一歩近づいてくる。
一つの傘の下、私たちは見つめあうこととなった。
手を伸ばし、袖で彼の頬を伝う雨を拭うと、想い合う男女の逢瀬にすら思えてくる。
黙って見下ろしていた彼の手が、ふいに私の顎にかけられる。重なるであろう唇の予測はついていたが、私は拒むことなくそれを受け入れた。
傘を打つ雨の音だけが耳に響く。冷たかった唇には、暖かい彼の体温がずっと重なっている。
唇を離した彼に引き寄せられても、やはり私は拒まずにその腕の中へ入っていった。
「宿に滞在している。雨宿りを……して行かぬか」
思わぬ誘いに心は喜びに震える。彼を慕う町の娘なら断る理由はない。
だが、この体には――。
「近々起こる戦に対するご城主の動き」
先ほど、情報と引き換えに抱かれた男の痕が残っている。
私を引き寄せていた彼の手が離れた。
くノ一め、と自嘲気味の笑いが頭上から降る。
「あいにく俺は何も知らぬ」
抱かれたい。忌まわしい感触を消してほしい。雨粒残るその胸元に飛び込みたい。
里の女が忍を抜ける前に言っていた。惚れた男に体をやれば心を奪われる、と。
だが、今の私に心を守る自信はない。彼へと傾く心をせき止めることにも、ごまかすことにも限界が近づいていた。だからこそ、彼に抱かれるわけにはいかない。
黙っている私に彼が続ける。
「その体で、俺が隠す情報を引き出すか?」
挑発の裏側に見え隠れする彼の思惑から目をそらす。
わかっている。このような挑発をするほどに彼は私を求めている、と。
「情報がないなら、あなたに用はない」
嘘を見透かされてしまわないよう胸元をかき合わせた。
その瞬間、強引に伸びてきた手に襟を広げられる。
「何を……!」
胸元には淫らな行為の傷跡が残っているというのに。
彼の目に、それが映ってしまったのだろう。襟をつかんでいた手がだらりと下がる。
「惚れた女がくノ一とは……笑い話にもならぬな」
握り締め震えている彼の拳をそっと拾い上げる。
彼が私を好いているなら、もう隠す必要など何もない。
「私もあなたを……」
「もう俺に術は効かぬ」
私の手を強く払いのけ、傘を足元に置いた彼は背を向けて歩いていく。
とっさに後を追いかけようとした足が止まる。
私の想いが術ではない、と彼に伝えてどうしようというのだ。私も彼も互いの立場を抜けることはできない。一緒になるすべもないのなら、彼の誤解はむしろいい機会ではないか。このまま追いかけ、真実を告げればもう止められない。そうなる前に別れられたのは好都合だ。
雨を弾く傘を拾うと、彼の手のぬくもりがまだ残っていた。久しく流していなかったものが、目から溢れて視界をにじませていく。
振り向くことなく歩いていく彼の後姿が、雨の霞の向こうへと消えていった。
―了―
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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 雨 ++
雨が降ると、皆、走って目的地へと急ぐ。
突然の雨に私も急ごうとしたが、あの特殊な走り方をここで披露しては、とたんに人々の視線を集めてしまうだろう。娘の格好に合わせて、手を目の上にかざし、裾を乱さぬ程度に走る。
橋の上にさしかかった時、ふいに前から歩いてきた男に傘をさしかけられた。腰には大小二本を差している。
親切はありがたいが、あまり人と関わりたくはない。そう思いながら顔を上げると、そこには見知った顔が――いや、心の奥では会いたいとさえ望んでいた男がいた。
「やはり、か……」
「……あなた」
「生きていたのか」
「おかげ様で」
燃える城で彼からもらった短刀を帯の隙間から見せる。
傘をさしかけている彼の髪に雨粒が落ち、頬を伝って胸元へと流れていく。
「濡れるわよ」
「近寄ればいい」
「せっかく助かった命を奪われては困るわ」
嫌味でも皮肉でもなく、自然に出てきた冗談だった。彼にも私にも殺気はない。
「ああ、そうだな……」
そう言いながら、彼が一歩近づいてくる。
一つの傘の下、私たちは見つめあうこととなった。
手を伸ばし、袖で彼の頬を伝う雨を拭うと、想い合う男女の逢瀬にすら思えてくる。
黙って見下ろしていた彼の手が、ふいに私の顎にかけられる。重なるであろう唇の予測はついていたが、私は拒むことなくそれを受け入れた。
傘を打つ雨の音だけが耳に響く。冷たかった唇には、暖かい彼の体温がずっと重なっている。
唇を離した彼に引き寄せられても、やはり私は拒まずにその腕の中へ入っていった。
「宿に滞在している。雨宿りを……して行かぬか」
思わぬ誘いに心は喜びに震える。彼を慕う町の娘なら断る理由はない。
だが、この体には――。
「近々起こる戦に対するご城主の動き」
先ほど、情報と引き換えに抱かれた男の痕が残っている。
私を引き寄せていた彼の手が離れた。
くノ一め、と自嘲気味の笑いが頭上から降る。
「あいにく俺は何も知らぬ」
抱かれたい。忌まわしい感触を消してほしい。雨粒残るその胸元に飛び込みたい。
里の女が忍を抜ける前に言っていた。惚れた男に体をやれば心を奪われる、と。
だが、今の私に心を守る自信はない。彼へと傾く心をせき止めることにも、ごまかすことにも限界が近づいていた。だからこそ、彼に抱かれるわけにはいかない。
黙っている私に彼が続ける。
「その体で、俺が隠す情報を引き出すか?」
挑発の裏側に見え隠れする彼の思惑から目をそらす。
わかっている。このような挑発をするほどに彼は私を求めている、と。
「情報がないなら、あなたに用はない」
嘘を見透かされてしまわないよう胸元をかき合わせた。
その瞬間、強引に伸びてきた手に襟を広げられる。
「何を……!」
胸元には淫らな行為の傷跡が残っているというのに。
彼の目に、それが映ってしまったのだろう。襟をつかんでいた手がだらりと下がる。
「惚れた女がくノ一とは……笑い話にもならぬな」
握り締め震えている彼の拳をそっと拾い上げる。
彼が私を好いているなら、もう隠す必要など何もない。
「私もあなたを……」
「もう俺に術は効かぬ」
私の手を強く払いのけ、傘を足元に置いた彼は背を向けて歩いていく。
とっさに後を追いかけようとした足が止まる。
私の想いが術ではない、と彼に伝えてどうしようというのだ。私も彼も互いの立場を抜けることはできない。一緒になるすべもないのなら、彼の誤解はむしろいい機会ではないか。このまま追いかけ、真実を告げればもう止められない。そうなる前に別れられたのは好都合だ。
雨を弾く傘を拾うと、彼の手のぬくもりがまだ残っていた。久しく流していなかったものが、目から溢れて視界をにじませていく。
振り向くことなく歩いていく彼の後姿が、雨の霞の向こうへと消えていった。
―了―
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プロフィール
HN:
水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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