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関係:同級生
今回はとあるイラストサイト様のイラストから浮かんだものを書きました。
窓際で金髪の男が女の子にキスしようとしているところで、半そで制服シャツでカーテンが風になびいて……というような絵です。
相手をチャラ男にしようとは決めたのですが、話のきっかけが見つからなくて……キスシーンを見てしまう女の子を書こう、と思いたって書き始め、後の展開は書きながら考えました。
絵の金髪男子を見て浮かぶ光景や口調をひたすら文章にしていたので、お話できるほどたいした裏話がありません(笑)
なんというか、夏はやっぱり学生恋愛もの書くのが爽やかでいいですね。ということは、逆に歳の差恋愛ものは冬に書くほうがしっくりくるのでしょうか?(笑)
なんだか久しぶりに初々しい気持ちで書きましたが、いつもながら楽しんでいただけると嬉しいです。なんだかちょっと創作意欲が戻ってきたっぽいです。
今回はとあるイラストサイト様のイラストから浮かんだものを書きました。
窓際で金髪の男が女の子にキスしようとしているところで、半そで制服シャツでカーテンが風になびいて……というような絵です。
相手をチャラ男にしようとは決めたのですが、話のきっかけが見つからなくて……キスシーンを見てしまう女の子を書こう、と思いたって書き始め、後の展開は書きながら考えました。
絵の金髪男子を見て浮かぶ光景や口調をひたすら文章にしていたので、お話できるほどたいした裏話がありません(笑)
なんというか、夏はやっぱり学生恋愛もの書くのが爽やかでいいですね。ということは、逆に歳の差恋愛ものは冬に書くほうがしっくりくるのでしょうか?(笑)
なんだか久しぶりに初々しい気持ちで書きましたが、いつもながら楽しんでいただけると嬉しいです。なんだかちょっと創作意欲が戻ってきたっぽいです。
---------------------------------------------------
++ 罠 ++
光に透けそうなほど薄い茶色の髪と、同じく茶色い長い髪が窓から入る風になびいている。二人の唇は重なっていた。
私が見たのはそこまで。後は、足音もかまわず逃げ出したから知らない。
そのまま学校を出ればよかったのに、なぜか私は教室へと逃げ込み、自分の席で息を整えた。
彼が入ってきた時から、図書室に不似合いだと気になっていたのだ。声をかけることもできず、見るだけしかできない私に目を止めることなく、彼は本棚の奥へと消えていった。本を取るふりをして探しに行かなければ、あんな光景を見ることもなかったのに。
唇を合わせる二人は目を閉じていた。彼も彼女も私のことなんて見ていないだろう。夏の放課後が見せた幻想だと思えばいいのだ。忘れてしまえばいい、好きな人のキスシーンなんて――。
そう思っているのに、頭の中では何度も二人のシルエットがよみがえってくる。スカートを揺らした風の生暖かさもしっかりと覚えている。
「見つけた」
教室の入り口から聞こえてきた声にハッとなる。
「あっ……ど……して?」
彼の目元は前髪に隠れてはっきりと見えない。怒っているのかもわからない。
動けない私に、彼がどんどん近づいてくる。そのまま、私の前の席へ横向きに座り、顔をこちらに向けた。
「黙っててよ、さっきの。……口止め料あげるから」
シルバーのリングをはめた彼の指が、机の上にある私の指を絡め取る。
友達とは全く感触の違う指が、私の指から手首をたどっていく。
「いらない。黙ってるから」
指とドキドキを振り払うように手を膝へと引っ込めた。
「あれ? 欲しくないの? オレのキス……」
頬にかかる私の髪を、彼の指がすくいとって撫でる。
誘われている、ということは本能的にわかった。男子に不慣れな私をからかっているのだろうか。
「全然。いらない。そんなことしなくても言わない」
それが好きな人のものであっても、別の女子とキスしていた唇なんていらない。私にとっては、そんなキスは口止め料じゃなくて罰ゲームだ。
「あ、そう」
興味が失せたというように、彼は私の髪を触るのをやめた。
ホッと息をついたのも束の間、前髪の間から彼の目が私を鋭く見上げてくる。
「でもさ、探してただろ、あんた、オレを」
言われた瞬間、まさに心臓が跳ねた。ドクンと耳に聞こえた気がした。
「どう、して……?」
「罠。でも、いいタイミングで来てくれたよね、あんた」
「なに? どういう……こと?」
「ああ、あの人、彼氏いるから黙っててあげてよ」
「罠って、なに?」
茶色の隙間から、二つの黒がじっと私を見つめている。その下には、何人と重ねられたのかわからない唇。今は閉ざされているけど、その口はこれから何を告げるのだろう。
やがて、いつも、と彼が口を開いた。
「何か言いたそうな目で見てくるくせに、話しかけてこようともしない。だから、あんたにキッカケをあげようと思ってね。図書室に入った時から、あんたが目で追ってるのは知ってた。あそこに女がいたのは計算外。キスしてくれって言うからしただけ」
彼は私の気持ちをどこまで知っているのか。私はどこまで言っていいのだろう。
「どこまで、知ってるの?」
「あんたは、どこまで話してくれんの?」
これも彼が与えてくれたチャンスなのだろうか。
「全部……言っていいの?」
「言ってよ。どうしてオレを見てたのか」
耳から心に響く低い声。私を覗き込む彼は、全てを知っているというかのように微笑んでいる。
また罠かもしれない。思ったけど、開いた心は止まらない。
「好き……だから」
「話したこともないのに?」
「そうだけど……でも……」
「オレも。話したこともないのに、あんたの目に気持ち持って行かれた。あれ、罠?」
「罠なんてしかけたことない」
「あんたらしいね。……で、オレら両想い。どうする? 付き合う?」
さらりと髪を撫でてくる指。こんなことが簡単にできる彼と本当に付き合っていけるのだろうか。私を好きと言う唇がまた誰かと重なるのを見ることになるのだろうか。そんなのはイヤだ。
「私は何番目になるの?」
「何番目もなにも……オレの彼女は一人。あんただけ」
「また、見るかもしれない。それはイヤ……」
膝の上に退避させていた手に何かが絡みつく。
金属の感触――リングをはめた彼の指だ。
「あんたがオレの彼女になるなら、オレもあんたのものになる。だから……付き合わない?」
「罠、じゃない?」
「信じるかどうかはあんたに任せる」
真剣な目も、ささやくような声も、強く握ってくる手も、罠かもしれない。
でも――それでも。
「信じる」
からまる指を逃したくなくて、彼の心をつかまえるように、もう片方の手で彼の手を握り締めた。
◇終◇
---------------------------------------------------
読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 罠 ++
光に透けそうなほど薄い茶色の髪と、同じく茶色い長い髪が窓から入る風になびいている。二人の唇は重なっていた。
私が見たのはそこまで。後は、足音もかまわず逃げ出したから知らない。
そのまま学校を出ればよかったのに、なぜか私は教室へと逃げ込み、自分の席で息を整えた。
彼が入ってきた時から、図書室に不似合いだと気になっていたのだ。声をかけることもできず、見るだけしかできない私に目を止めることなく、彼は本棚の奥へと消えていった。本を取るふりをして探しに行かなければ、あんな光景を見ることもなかったのに。
唇を合わせる二人は目を閉じていた。彼も彼女も私のことなんて見ていないだろう。夏の放課後が見せた幻想だと思えばいいのだ。忘れてしまえばいい、好きな人のキスシーンなんて――。
そう思っているのに、頭の中では何度も二人のシルエットがよみがえってくる。スカートを揺らした風の生暖かさもしっかりと覚えている。
「見つけた」
教室の入り口から聞こえてきた声にハッとなる。
「あっ……ど……して?」
彼の目元は前髪に隠れてはっきりと見えない。怒っているのかもわからない。
動けない私に、彼がどんどん近づいてくる。そのまま、私の前の席へ横向きに座り、顔をこちらに向けた。
「黙っててよ、さっきの。……口止め料あげるから」
シルバーのリングをはめた彼の指が、机の上にある私の指を絡め取る。
友達とは全く感触の違う指が、私の指から手首をたどっていく。
「いらない。黙ってるから」
指とドキドキを振り払うように手を膝へと引っ込めた。
「あれ? 欲しくないの? オレのキス……」
頬にかかる私の髪を、彼の指がすくいとって撫でる。
誘われている、ということは本能的にわかった。男子に不慣れな私をからかっているのだろうか。
「全然。いらない。そんなことしなくても言わない」
それが好きな人のものであっても、別の女子とキスしていた唇なんていらない。私にとっては、そんなキスは口止め料じゃなくて罰ゲームだ。
「あ、そう」
興味が失せたというように、彼は私の髪を触るのをやめた。
ホッと息をついたのも束の間、前髪の間から彼の目が私を鋭く見上げてくる。
「でもさ、探してただろ、あんた、オレを」
言われた瞬間、まさに心臓が跳ねた。ドクンと耳に聞こえた気がした。
「どう、して……?」
「罠。でも、いいタイミングで来てくれたよね、あんた」
「なに? どういう……こと?」
「ああ、あの人、彼氏いるから黙っててあげてよ」
「罠って、なに?」
茶色の隙間から、二つの黒がじっと私を見つめている。その下には、何人と重ねられたのかわからない唇。今は閉ざされているけど、その口はこれから何を告げるのだろう。
やがて、いつも、と彼が口を開いた。
「何か言いたそうな目で見てくるくせに、話しかけてこようともしない。だから、あんたにキッカケをあげようと思ってね。図書室に入った時から、あんたが目で追ってるのは知ってた。あそこに女がいたのは計算外。キスしてくれって言うからしただけ」
彼は私の気持ちをどこまで知っているのか。私はどこまで言っていいのだろう。
「どこまで、知ってるの?」
「あんたは、どこまで話してくれんの?」
これも彼が与えてくれたチャンスなのだろうか。
「全部……言っていいの?」
「言ってよ。どうしてオレを見てたのか」
耳から心に響く低い声。私を覗き込む彼は、全てを知っているというかのように微笑んでいる。
また罠かもしれない。思ったけど、開いた心は止まらない。
「好き……だから」
「話したこともないのに?」
「そうだけど……でも……」
「オレも。話したこともないのに、あんたの目に気持ち持って行かれた。あれ、罠?」
「罠なんてしかけたことない」
「あんたらしいね。……で、オレら両想い。どうする? 付き合う?」
さらりと髪を撫でてくる指。こんなことが簡単にできる彼と本当に付き合っていけるのだろうか。私を好きと言う唇がまた誰かと重なるのを見ることになるのだろうか。そんなのはイヤだ。
「私は何番目になるの?」
「何番目もなにも……オレの彼女は一人。あんただけ」
「また、見るかもしれない。それはイヤ……」
膝の上に退避させていた手に何かが絡みつく。
金属の感触――リングをはめた彼の指だ。
「あんたがオレの彼女になるなら、オレもあんたのものになる。だから……付き合わない?」
「罠、じゃない?」
「信じるかどうかはあんたに任せる」
真剣な目も、ささやくような声も、強く握ってくる手も、罠かもしれない。
でも――それでも。
「信じる」
からまる指を逃したくなくて、彼の心をつかまえるように、もう片方の手で彼の手を握り締めた。
◇終◇
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今後の創作の励みにさせていただきます。
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プロフィール
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水月
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自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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