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関係:高校生の時に付き合っていた二人
きっかけは今ハマり中のDSゲーム緋色の欠片のオープニング曲です。
絵も綺麗なのですが曲も本当に絵に合ってて、オープニングだけで切なくなります。その曲のフルバージョンを聴いた時から、いつか書きたいな、と思っていたシチュエーション。
ここからはゲームをやっていない人しかわからないことなのですが、最初は相手は拓磨のような優しいイメージで書こうと思ったのです。でも狗谷遼をクリアしてしまったせいか彼のイメージが頭から離れず、雰囲気としては彼に似たような感じになってしまいました。口が冷たくて、でも裏側ではちゃんと優しさがあって……周りに冷たいとか誤解されやすそうなキャラ好きです(笑)
ひたすら曲を1曲リピートで聴きながら書いていたので、裏話というほどの裏話がありません(^_^;) ……が、いつものように読まれた方の心のどこかを揺さぶることができれば嬉しいです。
きっかけは今ハマり中のDSゲーム緋色の欠片のオープニング曲です。
絵も綺麗なのですが曲も本当に絵に合ってて、オープニングだけで切なくなります。その曲のフルバージョンを聴いた時から、いつか書きたいな、と思っていたシチュエーション。
ここからはゲームをやっていない人しかわからないことなのですが、最初は相手は拓磨のような優しいイメージで書こうと思ったのです。でも狗谷遼をクリアしてしまったせいか彼のイメージが頭から離れず、雰囲気としては彼に似たような感じになってしまいました。口が冷たくて、でも裏側ではちゃんと優しさがあって……周りに冷たいとか誤解されやすそうなキャラ好きです(笑)
ひたすら曲を1曲リピートで聴きながら書いていたので、裏話というほどの裏話がありません(^_^;) ……が、いつものように読まれた方の心のどこかを揺さぶることができれば嬉しいです。
---------------------------------------------------
++ 消せない ++
私の携帯電話には、ずっと消せない番号がある。
機種を変更しても、その番号は残り続けている。
番号を消してしまえば、彼への想いの行き場もなくなってしまいそうで――消せない。
職場の友達とお酒を飲んで帰宅した日は必ず、携帯を開いてアドレス帳の番号を見つめている。
しかも、今晩の話題は学生時代の恋愛。私の記憶の中のさまざまな思いが当時のままよみがえった。
一人暮らしを始めたせいかもしれない。むしょうに人が恋しい。あの人に会いたい。
彼に電話をすることもなくなって二年、久しぶりが許される頃だろうか。
通話ボタンへと指を添える。いつもなら番号を見るだけで我慢できるのに、今日は本当にかけてもいいような気さえしていた。
「別れたのに……ありえない……よね」
自分でそう呟きながらも、指をボタンから離せない。
あーあ、とぼやいて、腕を前に突き出すようにテーブルに突っ伏した。
頭の中には、学生時代の幸せな光景が流れている。このまま想い出に浸って眠るのもいいかもしれない、と思い始めた頃、携帯電話からかすかに声が聞こえることに気づいた。
「えっ?」
あわてて顔を上げて見れば、携帯の画面には通話中の表示。アルコールから襲ってくる眠気が一気にさめた。
ここで切るのは失礼だろうと思い、声は出さずにそっと携帯を耳にあててみる。
『もしもし?……もしもし?』
何も喋らなければそのうち切られるだろう。そう思っていたけど、電話の向こうではずっと彼が何かを話し続けている。
大きく深呼吸をして――。
「……もし、もし」
震えるように応えると、聞こえてきたのは強い舌打ち。
『いるならさっさと出ろよ』
「あ、ごめん。ちょっとびっくりして……」
『はあ? 夜道でも歩いてんのか?』
「夜道? なんで?」
『痴漢対策で電話かけてんだろ?』
「え、いま家だけど……」
『……で、何?』
「何っていうか……特にないっていうか……久しぶり」
『……はあ?』
彼の返事は乱暴なものばかりだけど、優しい声音は変わっていない。電話は苦手だと言いながら、私との電話で彼から切ることはなかった。あの頃と変わらない彼のその対応に泣きそうになる。
でも、電話の向こうにいるのはあの頃の彼じゃない。
「ごめん、ね。いま忙しい?」
『バイトから帰ってきたとこ。別に話せないこともない。……ちょっと待て』
携帯をどこかに置く音がして、次いでガサガサと何かを開ける音が続く。最後の音の正体は私にもわかった。わりばしを割ったのだ。
電話から彼の生活が見える気がして、おもわず笑いがもれた。
ゴソゴソと聞こえて、彼の息遣いが戻ってくる。
『悪い、弁当開けてた』
「そうじゃないかなって思った」
『通話料いいのか?』
「うん、繰り越された無料通話分が余ってるから」
『電話するヤツいるだろ、俺以外に』
「友達だけだよ」
『男は?』
「携帯の番号教えてない」
『……さみしいヤツだな、おまえ。隙作らないと男が寄ってこないぜ?』
何かを噛みながら彼が笑う。
私の出会いをからかう余裕さえ今の彼にはあるのだ、と少し寂しくなる。
「う、うるさい。そっちこそ、どうなの? 昔みたいにいっぱい声とかかけられてる?」
聞いてから、しまった、と思った。
高校生の頃、怖いと言いながらも彼を気にしている女子はたくさんいた。話し方は乱暴だったけど顔も性格も悪くないからモテていた。私と別れてすぐに彼女ができてもおかしくはない人だ。
『ああ、昔以上に』
「……じゃあ、彼女、は?」
本当にバカだ。聞けば傷つくとわかっているのに、気になってやはり聞いてしまう。
『いない』
「うそ、本当に? いるでしょ?」
冗談だ、と言われた時のための心構えもしておかなければいけない。まだ、安心するわけにはいなかった。
『いない。おまえの後は誰とも付き合ったことない』
「あ、そうか……うん、そっか、そうなんだ」
うれしかった。あの後、彼は誰のものにもなっていない。この人の彼氏である姿は私しか知らない。嬉しくて頬がゆるむ。声さえもれそうになる。
『なあ……いまだにわからないことがある』
「なに?」
『俺らが別れたキッカケって……何だ? おまえがすごい勢いで怒ってたのは覚えてる。俺もすごいむかついてた』
「うん、ケンカしたね」
『むかつくままにおまえにメールしたから……内容まで覚えてない』
「言われてみれば……私もそんなにくわしく覚えてない」
本当に、当時のメールの内容を覚えていない。怒りが先にあったから彼からのメールもすぐに消していた。ただ、彼の返事を見て、私たちは終わったのだ、と思ったことだけはしっかり覚えている。
たしかに悲しかったのに、肝心なことを覚えていないなんて、私たちはマヌケなカップルかもしれない。
『おまえさ……俺の番号どうやって出した?』
「……アドレス帳」
『携帯の?』
「……うん。消すって言ったのに残しててごめん。切ったら消すから、ちゃんと」
ウソだ。電話を切ってもこの番号はずっと残ることになるだろう。
『別にいい。俺も……残してあるから』
そんなことを言われたら期待してしまう。二年経っても彼は私を好きなのだ、と、また付き合えるかもしれない、と甘い希望を持ってしまう。
どう返せばいいのかわからず、私はじっと黙っていた。
先に声を発したのは彼。
『おまえ、まだ俺のこと好きだろ?』
「……そう、かも。たぶん、そう」
『明日は土曜だからおまえ休み?』
「えっ? そうだけど?」
『今からおまえんち行く。ちょっと泊めろ』
「と、泊める? いきなり?」
『何もしない。だから泊めろ。……今すぐ、おまえに会いたい』
「……わかった、待ってる」
そう答えた瞬間、電話はブツリと切れた。
まだ、頭がボーッとしている。耳には彼の声と言葉が残っている。
友達と恋愛話をして、なんだかよくわからないうちに電話をして、彼がもうすぐ家に来る。
めまぐるしく起こった出来事に頭がついていかないのだ。
携帯には、通話終了の文字と共に彼の電話番号が出ている。
「もう、消さなくていいんだ……」
私の呟きに応えるように、携帯はいつもの待ち受け画面へと戻った。
◇終◇
---------------------------------------------------
読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 消せない ++
私の携帯電話には、ずっと消せない番号がある。
機種を変更しても、その番号は残り続けている。
番号を消してしまえば、彼への想いの行き場もなくなってしまいそうで――消せない。
職場の友達とお酒を飲んで帰宅した日は必ず、携帯を開いてアドレス帳の番号を見つめている。
しかも、今晩の話題は学生時代の恋愛。私の記憶の中のさまざまな思いが当時のままよみがえった。
一人暮らしを始めたせいかもしれない。むしょうに人が恋しい。あの人に会いたい。
彼に電話をすることもなくなって二年、久しぶりが許される頃だろうか。
通話ボタンへと指を添える。いつもなら番号を見るだけで我慢できるのに、今日は本当にかけてもいいような気さえしていた。
「別れたのに……ありえない……よね」
自分でそう呟きながらも、指をボタンから離せない。
あーあ、とぼやいて、腕を前に突き出すようにテーブルに突っ伏した。
頭の中には、学生時代の幸せな光景が流れている。このまま想い出に浸って眠るのもいいかもしれない、と思い始めた頃、携帯電話からかすかに声が聞こえることに気づいた。
「えっ?」
あわてて顔を上げて見れば、携帯の画面には通話中の表示。アルコールから襲ってくる眠気が一気にさめた。
ここで切るのは失礼だろうと思い、声は出さずにそっと携帯を耳にあててみる。
『もしもし?……もしもし?』
何も喋らなければそのうち切られるだろう。そう思っていたけど、電話の向こうではずっと彼が何かを話し続けている。
大きく深呼吸をして――。
「……もし、もし」
震えるように応えると、聞こえてきたのは強い舌打ち。
『いるならさっさと出ろよ』
「あ、ごめん。ちょっとびっくりして……」
『はあ? 夜道でも歩いてんのか?』
「夜道? なんで?」
『痴漢対策で電話かけてんだろ?』
「え、いま家だけど……」
『……で、何?』
「何っていうか……特にないっていうか……久しぶり」
『……はあ?』
彼の返事は乱暴なものばかりだけど、優しい声音は変わっていない。電話は苦手だと言いながら、私との電話で彼から切ることはなかった。あの頃と変わらない彼のその対応に泣きそうになる。
でも、電話の向こうにいるのはあの頃の彼じゃない。
「ごめん、ね。いま忙しい?」
『バイトから帰ってきたとこ。別に話せないこともない。……ちょっと待て』
携帯をどこかに置く音がして、次いでガサガサと何かを開ける音が続く。最後の音の正体は私にもわかった。わりばしを割ったのだ。
電話から彼の生活が見える気がして、おもわず笑いがもれた。
ゴソゴソと聞こえて、彼の息遣いが戻ってくる。
『悪い、弁当開けてた』
「そうじゃないかなって思った」
『通話料いいのか?』
「うん、繰り越された無料通話分が余ってるから」
『電話するヤツいるだろ、俺以外に』
「友達だけだよ」
『男は?』
「携帯の番号教えてない」
『……さみしいヤツだな、おまえ。隙作らないと男が寄ってこないぜ?』
何かを噛みながら彼が笑う。
私の出会いをからかう余裕さえ今の彼にはあるのだ、と少し寂しくなる。
「う、うるさい。そっちこそ、どうなの? 昔みたいにいっぱい声とかかけられてる?」
聞いてから、しまった、と思った。
高校生の頃、怖いと言いながらも彼を気にしている女子はたくさんいた。話し方は乱暴だったけど顔も性格も悪くないからモテていた。私と別れてすぐに彼女ができてもおかしくはない人だ。
『ああ、昔以上に』
「……じゃあ、彼女、は?」
本当にバカだ。聞けば傷つくとわかっているのに、気になってやはり聞いてしまう。
『いない』
「うそ、本当に? いるでしょ?」
冗談だ、と言われた時のための心構えもしておかなければいけない。まだ、安心するわけにはいなかった。
『いない。おまえの後は誰とも付き合ったことない』
「あ、そうか……うん、そっか、そうなんだ」
うれしかった。あの後、彼は誰のものにもなっていない。この人の彼氏である姿は私しか知らない。嬉しくて頬がゆるむ。声さえもれそうになる。
『なあ……いまだにわからないことがある』
「なに?」
『俺らが別れたキッカケって……何だ? おまえがすごい勢いで怒ってたのは覚えてる。俺もすごいむかついてた』
「うん、ケンカしたね」
『むかつくままにおまえにメールしたから……内容まで覚えてない』
「言われてみれば……私もそんなにくわしく覚えてない」
本当に、当時のメールの内容を覚えていない。怒りが先にあったから彼からのメールもすぐに消していた。ただ、彼の返事を見て、私たちは終わったのだ、と思ったことだけはしっかり覚えている。
たしかに悲しかったのに、肝心なことを覚えていないなんて、私たちはマヌケなカップルかもしれない。
『おまえさ……俺の番号どうやって出した?』
「……アドレス帳」
『携帯の?』
「……うん。消すって言ったのに残しててごめん。切ったら消すから、ちゃんと」
ウソだ。電話を切ってもこの番号はずっと残ることになるだろう。
『別にいい。俺も……残してあるから』
そんなことを言われたら期待してしまう。二年経っても彼は私を好きなのだ、と、また付き合えるかもしれない、と甘い希望を持ってしまう。
どう返せばいいのかわからず、私はじっと黙っていた。
先に声を発したのは彼。
『おまえ、まだ俺のこと好きだろ?』
「……そう、かも。たぶん、そう」
『明日は土曜だからおまえ休み?』
「えっ? そうだけど?」
『今からおまえんち行く。ちょっと泊めろ』
「と、泊める? いきなり?」
『何もしない。だから泊めろ。……今すぐ、おまえに会いたい』
「……わかった、待ってる」
そう答えた瞬間、電話はブツリと切れた。
まだ、頭がボーッとしている。耳には彼の声と言葉が残っている。
友達と恋愛話をして、なんだかよくわからないうちに電話をして、彼がもうすぐ家に来る。
めまぐるしく起こった出来事に頭がついていかないのだ。
携帯には、通話終了の文字と共に彼の電話番号が出ている。
「もう、消さなくていいんだ……」
私の呟きに応えるように、携帯はいつもの待ち受け画面へと戻った。
◇終◇
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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
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Re:無題
ながのさん、いつもSSの感想をありがとうございます。
曲を聴きながら浮かんでくる情景をただ夢中で文字にしたので、読まれた方にもちゃんと伝わっていて嬉しいです。電話だからといって会話だけというのはなんとなくイヤなのでいつも描写を入れてしまいます(^_^;)
あ、態度はぶっきらぼうなのに優しい男子、私は大好物です(笑)
この二人、一応恋人未満……じゃないですかね? 私的には、元恋人ではあっても初々しい気分で書いてはいたんですが(笑)
曲を聴きながら浮かんでくる情景をただ夢中で文字にしたので、読まれた方にもちゃんと伝わっていて嬉しいです。電話だからといって会話だけというのはなんとなくイヤなのでいつも描写を入れてしまいます(^_^;)
あ、態度はぶっきらぼうなのに優しい男子、私は大好物です(笑)
この二人、一応恋人未満……じゃないですかね? 私的には、元恋人ではあっても初々しい気分で書いてはいたんですが(笑)
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プロフィール
HN:
水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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