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関係:忍者と姫
場所:姫の部屋
内容:敵かもしれない、そんな疑惑を捨てられない姫は短刀をかまえて彼と対峙する。だが、彼は臆することなく短刀に体を近づけてきた
敵か味方か、という話に近々とりあえずの決着をつけなければいけないな、とは前作を書き終えた後に思っていました。間に違う話を挟むことはできないな、と。
まあ、結果的にはっきりはしていませんが、お互いがお互いの答えを言ったということで一応の決着はつきました。彼や姫の立場を考えるとこれが精一杯です。そう簡単に証拠出せるものでもないですし。……というわけでこのSSの「続き」をご所望されるのは勘弁してください(^_^;) 忍者と姫の二人のSSはこれからもまた書きますが、いつもの1話完結ペースに戻ると思います。
短刀をつきつけて彼が体を近づける、というところまでは執筆前の構想でおよそ考えていたのですが、最後のあの「彼が○○を見せる」というのは姫のセリフの後をどうしようかと考えていたら彼が勝手に動き始めたのです。作者のくせに驚きながらも「彼らしい」と思いながら続きを執筆。
忍装束についてネットで昔に調べておいてよかった、と心底安堵(笑) ちゃんと頭巾の項目もあったので助かりました。
しかし、忍者の彼は口数が少ないのでいかに短く思いを言わせるか、ということに毎回苦心してます。彼のセリフで何度か手が止まる。ダラダラ喋るのはどうも彼らしくない。
そんな私なりに愛着ある二人と作品、皆様にも楽しんでいただければ嬉しいです。
場所:姫の部屋
内容:敵かもしれない、そんな疑惑を捨てられない姫は短刀をかまえて彼と対峙する。だが、彼は臆することなく短刀に体を近づけてきた
敵か味方か、という話に近々とりあえずの決着をつけなければいけないな、とは前作を書き終えた後に思っていました。間に違う話を挟むことはできないな、と。
まあ、結果的にはっきりはしていませんが、お互いがお互いの答えを言ったということで一応の決着はつきました。彼や姫の立場を考えるとこれが精一杯です。そう簡単に証拠出せるものでもないですし。……というわけでこのSSの「続き」をご所望されるのは勘弁してください(^_^;) 忍者と姫の二人のSSはこれからもまた書きますが、いつもの1話完結ペースに戻ると思います。
短刀をつきつけて彼が体を近づける、というところまでは執筆前の構想でおよそ考えていたのですが、最後のあの「彼が○○を見せる」というのは姫のセリフの後をどうしようかと考えていたら彼が勝手に動き始めたのです。作者のくせに驚きながらも「彼らしい」と思いながら続きを執筆。
忍装束についてネットで昔に調べておいてよかった、と心底安堵(笑) ちゃんと頭巾の項目もあったので助かりました。
しかし、忍者の彼は口数が少ないのでいかに短く思いを言わせるか、ということに毎回苦心してます。彼のセリフで何度か手が止まる。ダラダラ喋るのはどうも彼らしくない。
そんな私なりに愛着ある二人と作品、皆様にも楽しんでいただければ嬉しいです。
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++ 素顔 ++
眩しいほどの朝日とは対照的な表情をした侍女が入ってくる。
「姫様……会われましたか?」
彼女が何のことを指しているのかはわかっている。彼に会ったか、と聞いているのだ。
「会って確認したわ。噂の忍びは彼ではないそうよ」
「そう、ですか」
嬉しそうに彼女が微笑む。
だが、私にはまだ引っかかっていることがあった。噂の忍びではなくとも、彼が敵かもしれない、という疑惑はまだ消えていないのだ。
「彼は……敵国の者かもしれない」
「姫様? それはどのような……」
先ほどまで浮かべていた笑みが、彼女から瞬時に消えていく。
「敵国の者でもかまわない、と言ったら……彼が離れた。それだけ、よ」
「それだけで十分、とも言えます」
「敵かと問うても彼の答えはなかった」
「隠密の者が素性を明かすとは思えません」
私になら彼はきちんと答えてくれる、と確証のない期待はあったのだ。それと同時に、忍である彼が簡単に答えてくれるわけがない、という思いもあった。
疑惑は消えることなく心に残り、期待は彼の沈黙に崩された。
「騙されているのか、利用されているのか……私にももうわからないわ」
「それでも姫様は忘れられないのでしょう?」
「ええ、そうよ」
「その者は城のことなどを姫様に聞かれたりは?」
「そういえば……何も聞かないわ」
彼はいつも静かに立ち、私の問いには短く答えるだけ。だから、今まで彼が敵国の者かどうか気にすることすらなかったのだ。
傍らの侍女が笑って頷く。
「まだ、決まったわけではありませんね」
「そうね……」
そうだわ、と小さく呟き、夜には闇に染まる空を見つめた。
私の手の内に握られているものを見ても、彼はひるむことなくいつものように目の前に立った。
鞘から引き抜かれた短刀は遠くの月明かりを反射し、その鋭利さを私たちに伝えてくる。人体を傷つけることなど造作もないだろう。
「何故、とは聞かないの?」
「我を敵と判断した」
「いいえ、まだ敵と断定したわけではない。あなた……やはり敵なの?」
「おぬしが判断すればよい」
刃が彼に一歩近づく。
短刀を向けている私が震えているというのに、彼はなぜ静止したままでいられるのか。忍は殺すことにも殺されることにも無関心なのだろうか。
さらに歩を進める。彼の胸に短刀の先が触れた。
「逃げないの? 私が手を進めればあなたの……」
胸に刺されば命も危うくなる――。
手の震えが私の胸にも伝わってくる。
「あなた、私に刺せるはずがないと思っているのね?」
「……否」彼が刃へと体を近づけるので、思わず少し手を引いた。「おぬしが与える死ならば……受け入れるも悪くない」
短刀をはさんで、彼と視線が交わる。
彼ならためらいなく刃に体を預けるだろう。それができる人、だからこそ私は――。
「殺すことなどできるわけがないのよ」
そう言ったとたん、不思議と手の震えは止まった。短刀を背後へと投げ捨てる。
彼の命がある胸へと手をあてると、筋肉を通して鼓動が手のひらを小さく叩く。
胸にあてている私の手にそっと彼が手を重ねてきた。
「私、まだあなたのこと何も知らないわ。名前も、歳も、素顔も……」
自身の後頭部へと手をやった彼は、顔を覆った布をはずし始めた。
垂れる布が長くなるにしたがって彼の顔が徐々に露わになっていく。この長い一枚の布で顔や頭が覆われていたのだ。
やがて、彼の黒い髪と顔が月明かりの下に現れた。髪は後ろで短く結われかすかな風になびき、無表情ながら端正な顔にある双眸がじっと私を見下ろしている。
「忍が素顔など見せてもいいの?」
「……ああ」
彼の胸にあてていた手を頬へと移す。
「あなたになら、騙されていても利用されていても、私はかまわないわ」
もう片方の手も彼の頬にあて、少しだけ引き寄せる。
私の手を握り締めるように手を重ね、彼も顔を近づけてくる。
「利用などせぬ」
唇が重なる寸前、彼は低く呟いた。
―了―
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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 素顔 ++
眩しいほどの朝日とは対照的な表情をした侍女が入ってくる。
「姫様……会われましたか?」
彼女が何のことを指しているのかはわかっている。彼に会ったか、と聞いているのだ。
「会って確認したわ。噂の忍びは彼ではないそうよ」
「そう、ですか」
嬉しそうに彼女が微笑む。
だが、私にはまだ引っかかっていることがあった。噂の忍びではなくとも、彼が敵かもしれない、という疑惑はまだ消えていないのだ。
「彼は……敵国の者かもしれない」
「姫様? それはどのような……」
先ほどまで浮かべていた笑みが、彼女から瞬時に消えていく。
「敵国の者でもかまわない、と言ったら……彼が離れた。それだけ、よ」
「それだけで十分、とも言えます」
「敵かと問うても彼の答えはなかった」
「隠密の者が素性を明かすとは思えません」
私になら彼はきちんと答えてくれる、と確証のない期待はあったのだ。それと同時に、忍である彼が簡単に答えてくれるわけがない、という思いもあった。
疑惑は消えることなく心に残り、期待は彼の沈黙に崩された。
「騙されているのか、利用されているのか……私にももうわからないわ」
「それでも姫様は忘れられないのでしょう?」
「ええ、そうよ」
「その者は城のことなどを姫様に聞かれたりは?」
「そういえば……何も聞かないわ」
彼はいつも静かに立ち、私の問いには短く答えるだけ。だから、今まで彼が敵国の者かどうか気にすることすらなかったのだ。
傍らの侍女が笑って頷く。
「まだ、決まったわけではありませんね」
「そうね……」
そうだわ、と小さく呟き、夜には闇に染まる空を見つめた。
私の手の内に握られているものを見ても、彼はひるむことなくいつものように目の前に立った。
鞘から引き抜かれた短刀は遠くの月明かりを反射し、その鋭利さを私たちに伝えてくる。人体を傷つけることなど造作もないだろう。
「何故、とは聞かないの?」
「我を敵と判断した」
「いいえ、まだ敵と断定したわけではない。あなた……やはり敵なの?」
「おぬしが判断すればよい」
刃が彼に一歩近づく。
短刀を向けている私が震えているというのに、彼はなぜ静止したままでいられるのか。忍は殺すことにも殺されることにも無関心なのだろうか。
さらに歩を進める。彼の胸に短刀の先が触れた。
「逃げないの? 私が手を進めればあなたの……」
胸に刺されば命も危うくなる――。
手の震えが私の胸にも伝わってくる。
「あなた、私に刺せるはずがないと思っているのね?」
「……否」彼が刃へと体を近づけるので、思わず少し手を引いた。「おぬしが与える死ならば……受け入れるも悪くない」
短刀をはさんで、彼と視線が交わる。
彼ならためらいなく刃に体を預けるだろう。それができる人、だからこそ私は――。
「殺すことなどできるわけがないのよ」
そう言ったとたん、不思議と手の震えは止まった。短刀を背後へと投げ捨てる。
彼の命がある胸へと手をあてると、筋肉を通して鼓動が手のひらを小さく叩く。
胸にあてている私の手にそっと彼が手を重ねてきた。
「私、まだあなたのこと何も知らないわ。名前も、歳も、素顔も……」
自身の後頭部へと手をやった彼は、顔を覆った布をはずし始めた。
垂れる布が長くなるにしたがって彼の顔が徐々に露わになっていく。この長い一枚の布で顔や頭が覆われていたのだ。
やがて、彼の黒い髪と顔が月明かりの下に現れた。髪は後ろで短く結われかすかな風になびき、無表情ながら端正な顔にある双眸がじっと私を見下ろしている。
「忍が素顔など見せてもいいの?」
「……ああ」
彼の胸にあてていた手を頬へと移す。
「あなたになら、騙されていても利用されていても、私はかまわないわ」
もう片方の手も彼の頬にあて、少しだけ引き寄せる。
私の手を握り締めるように手を重ね、彼も顔を近づけてくる。
「利用などせぬ」
唇が重なる寸前、彼は低く呟いた。
―了―
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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
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Re:無題
お久しぶりです、ほたるさん。感想をありがとうございます。
姫様って思わず呼んでしまう気持ちがわかります(笑) 彼があんなんですから、姫様には積極的に言ってもらわないと話が進まないというか私が楽しめないというか。進展のあまりない二人ながらじわじわと距離は近づいてたりします(^_^;)
彼の怪我ネタはいつか書きたいとあたためている気持ちが見破られたような気がして、ちょっとドキリとしてしまいました。はい、いつか書くと思います、すみません(笑)
にんにんは違いますよー(笑)
姫様って思わず呼んでしまう気持ちがわかります(笑) 彼があんなんですから、姫様には積極的に言ってもらわないと話が進まないというか私が楽しめないというか。進展のあまりない二人ながらじわじわと距離は近づいてたりします(^_^;)
彼の怪我ネタはいつか書きたいとあたためている気持ちが見破られたような気がして、ちょっとドキリとしてしまいました。はい、いつか書くと思います、すみません(笑)
にんにんは違いますよー(笑)
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女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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