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関係:教師と生徒
場所:準備室→廊下
内容:プリントを持っていった私に、ホワイトデーだと先生は小さな箱を渡す。実はそれは――。
なんとなくまたあのチャラい先生を書きたくなったので書いてみました。
ネタに困りつつもカレンダーを見たらホワイトデーが近かったので、安易にホワイトデーネタで。
今作はあんな終わり方になってますが、もはや私自身もこの二人をどうしたいのかがよくわかりません(笑) こういう距離感は書いてて楽しいですけど。
書きたくなったものを気ままに書く。それが私の『衝動書きSS』なので「続き」だとか「シリーズ化」だとかは本当に全然考えてません。そんなわけで今作もいつもと同じように「一つの衝動作」として楽しんで読んでもらえればと思います。
あ、なんで急に語ってるんだか(笑)
とりあえず、この先生はあいかわらずキャラがつかめない……。
場所:準備室→廊下
内容:プリントを持っていった私に、ホワイトデーだと先生は小さな箱を渡す。実はそれは――。
なんとなくまたあのチャラい先生を書きたくなったので書いてみました。
ネタに困りつつもカレンダーを見たらホワイトデーが近かったので、安易にホワイトデーネタで。
今作はあんな終わり方になってますが、もはや私自身もこの二人をどうしたいのかがよくわかりません(笑) こういう距離感は書いてて楽しいですけど。
書きたくなったものを気ままに書く。それが私の『衝動書きSS』なので「続き」だとか「シリーズ化」だとかは本当に全然考えてません。そんなわけで今作もいつもと同じように「一つの衝動作」として楽しんで読んでもらえればと思います。
あ、なんで急に語ってるんだか(笑)
とりあえず、この先生はあいかわらずキャラがつかめない……。
--------------------------------------------------
++ 期待 ++
クラスで集めたプリントを先生のところへ持っていくと、ラッピングされた小さな箱を渡された。
「なんですか、これ?」
「ん? ホワイトデーだから」
「バレンタインデーに先生に何もあげてませんけど」
「……そうだったっけ?」
もう一人の先生が準備室から出て行った。
私と先生の二人が残される。
「お返しなら他の女子にどうぞ」
箱を先生の前につき返す。
「生チョコって嫌い?」
「そういうわけでもないです」
「じゃ、まあ、一つ食べてやってください」
ジャケットのポケットに無理やり箱をねじこまれる。
「だって、本当にあげてないし……」
「なかなか頑固だね。……ま、俺の気持ちってことで」
きた、と思った。またいつもの先生お得意の口説き文句ってやつだろう。真に受けてはいけないとわかっているのに、なぜかいつも私の胸は少し揺らいでしまうのだ。だから、困る。未熟な子供は大人の軽口を笑ってかわせない。
「どうせ、他の女子にも言ってるんですよね、それ」
「さあ、どうだろうね?」
さっきまで笑っていたくせに、急に真顔になられるのも困る。やっぱり、どう返せばいいのかわからない。
「……ありがとうございます」
「いえいえ」
ポケットに小さな箱を入れたまま、私は準備室を出た。
帰宅してから、一人、居間で先生にもらった箱と向き合った。
ゆっくりリボンを外し、包装紙を綺麗に開く。ブランド名だけが書かれた黒い箱を開けると、四つの生チョコが入っている。一つだけ口に入れてみた。
しつこくはないチョコレートの味が、口にふわりと広がって溶けていく。素人の私でもわかるくらいに上品な生チョコだ。
ふと、足元の広告に目がいった。『ホワイトデー特集』と書かれた百貨店のチラシに、先生からもらったものと同じチョコレートがあった。
「嘘……でしょ?」
おもわず呟きが漏れるほどの値段が、そこには書かれてある。さらに広告によると、このチョコは有名なパティシエが数量限定で作ったものらしい。
『ま、俺の気持ちってことで』
いつもの口説き文句だと流したはずの先生の言葉が、ふいに生々しくよみがえってきた。
私だったら絶対に義理では買わない値段だけど、先生は大人だから、こんな値段でも買えたりするのだろうか。
それとも――。
振り切るように、テーブルに残された三個のチョコを一気に食べた。残したりすれば、それを見るたびに甘い期待が湧いてしまいそうだ。
八つ当たりのように、チラシの束を裏返す。
包装紙と箱は、ゴミ箱の一番底へと押し込んだ。
これはきっと義理なのだ、と言い聞かせるように証拠を隠滅していった。
翌日、廊下を歩いていると普通に先生に話しかけられた。
「昨日のアレどうだった?」
「おいしかったです」
顔を見ずに答えた。そっけない、と我ながら思う。でも、目を合わせれば聞きたくなるのだ。あのチョコは義理だったのかどうか、を。
「俺の気持ちは伝わった?」
期待を捨てれば、先生の言葉をかわすのは簡単だ。
「他の女子にも言ってるんですよね。わかってます」
「ああ……まあ、普通はそう受け取るね」
どういう意味だろう。
捨てたはずの期待が、先生の一言で舞い戻ってくる。
「違うんですか?」
「いや、それでいいと思うよ」
質問にこめた期待をかわすように、先生は、いつもの調子で笑いながら私を追い越していった。
◇終◇
------------------------------------------------
読んでくださってありがとうございました。よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 期待 ++
クラスで集めたプリントを先生のところへ持っていくと、ラッピングされた小さな箱を渡された。
「なんですか、これ?」
「ん? ホワイトデーだから」
「バレンタインデーに先生に何もあげてませんけど」
「……そうだったっけ?」
もう一人の先生が準備室から出て行った。
私と先生の二人が残される。
「お返しなら他の女子にどうぞ」
箱を先生の前につき返す。
「生チョコって嫌い?」
「そういうわけでもないです」
「じゃ、まあ、一つ食べてやってください」
ジャケットのポケットに無理やり箱をねじこまれる。
「だって、本当にあげてないし……」
「なかなか頑固だね。……ま、俺の気持ちってことで」
きた、と思った。またいつもの先生お得意の口説き文句ってやつだろう。真に受けてはいけないとわかっているのに、なぜかいつも私の胸は少し揺らいでしまうのだ。だから、困る。未熟な子供は大人の軽口を笑ってかわせない。
「どうせ、他の女子にも言ってるんですよね、それ」
「さあ、どうだろうね?」
さっきまで笑っていたくせに、急に真顔になられるのも困る。やっぱり、どう返せばいいのかわからない。
「……ありがとうございます」
「いえいえ」
ポケットに小さな箱を入れたまま、私は準備室を出た。
帰宅してから、一人、居間で先生にもらった箱と向き合った。
ゆっくりリボンを外し、包装紙を綺麗に開く。ブランド名だけが書かれた黒い箱を開けると、四つの生チョコが入っている。一つだけ口に入れてみた。
しつこくはないチョコレートの味が、口にふわりと広がって溶けていく。素人の私でもわかるくらいに上品な生チョコだ。
ふと、足元の広告に目がいった。『ホワイトデー特集』と書かれた百貨店のチラシに、先生からもらったものと同じチョコレートがあった。
「嘘……でしょ?」
おもわず呟きが漏れるほどの値段が、そこには書かれてある。さらに広告によると、このチョコは有名なパティシエが数量限定で作ったものらしい。
『ま、俺の気持ちってことで』
いつもの口説き文句だと流したはずの先生の言葉が、ふいに生々しくよみがえってきた。
私だったら絶対に義理では買わない値段だけど、先生は大人だから、こんな値段でも買えたりするのだろうか。
それとも――。
振り切るように、テーブルに残された三個のチョコを一気に食べた。残したりすれば、それを見るたびに甘い期待が湧いてしまいそうだ。
八つ当たりのように、チラシの束を裏返す。
包装紙と箱は、ゴミ箱の一番底へと押し込んだ。
これはきっと義理なのだ、と言い聞かせるように証拠を隠滅していった。
翌日、廊下を歩いていると普通に先生に話しかけられた。
「昨日のアレどうだった?」
「おいしかったです」
顔を見ずに答えた。そっけない、と我ながら思う。でも、目を合わせれば聞きたくなるのだ。あのチョコは義理だったのかどうか、を。
「俺の気持ちは伝わった?」
期待を捨てれば、先生の言葉をかわすのは簡単だ。
「他の女子にも言ってるんですよね。わかってます」
「ああ……まあ、普通はそう受け取るね」
どういう意味だろう。
捨てたはずの期待が、先生の一言で舞い戻ってくる。
「違うんですか?」
「いや、それでいいと思うよ」
質問にこめた期待をかわすように、先生は、いつもの調子で笑いながら私を追い越していった。
◇終◇
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プロフィール
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水月
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女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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