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関係:上司と部下
場所:回転すし屋
内容:一人で回転寿司屋で食べていた私。隣に上司である主任が座って――。
書こうと思ったきっかけは単純に「今日の昼に母と行ったから」です(笑)
ひととおり食べ終えてお茶を飲んでた時に、三席向こうにカップルを見かけて、そこからちょっと妄想モードに入ってました。
暖かくてまったりとした気分で妄想していたせいか、なんとなく淡白な雰囲気の恋愛を書きたくなったのです。
この彼女、意外と色気より食い気タイプかも(笑)
場所:回転すし屋
内容:一人で回転寿司屋で食べていた私。隣に上司である主任が座って――。
書こうと思ったきっかけは単純に「今日の昼に母と行ったから」です(笑)
ひととおり食べ終えてお茶を飲んでた時に、三席向こうにカップルを見かけて、そこからちょっと妄想モードに入ってました。
暖かくてまったりとした気分で妄想していたせいか、なんとなく淡白な雰囲気の恋愛を書きたくなったのです。
この彼女、意外と色気より食い気タイプかも(笑)
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++ 回転寿司 ++
会社のエレベーターの中で母にメールを打つ。
『ごめん。晩ご飯は食べて帰る』
『わかりました』
最近、ようやくメールの方法を覚えた母は、予測変換で出てくる定型文の場合は返事が早い。だけど、定型文なので家族でありながら敬語。最初こそ笑ったものの、もうさすがに慣れた。
晩ご飯を食べて帰るとメールしたものの、友達とおいしいディナーを食べに行く約束などしていない。単純にお寿司を食べたくなったので回転寿司でも行こうと思ったのだ。
騒々しいながらも、待たずにカウンターへ座ることができた。隣の空席におじさんが来なければいいな、と密かに思いながらお寿司へと手を伸ばす。
サーモンを頬張ったとたん、隣から「あっ」と聞こえてきた。
口内のものを飲み込んで隣へと目を移す。
「あ、主任じゃないですか」
とりあえず、見知らぬおじさんが回避できたのは幸い――というべきか。
「一人か?」
あまり話すことはないけど、私の上司なのでお茶くらいは淹れてあげる。
「一人です。どうぞ」
「どうも」
気まずく沈黙するくらいなら食べるほうが有意義。そう言わんばかりに私たちは互いに無言で食べ続ける。
主任が次々と積んでいく皿を眺め、やっぱり男の人は早いな、とどうでもいいことを思う。
温かい茶碗蒸しを口に運んでいると、主任の視線を感じたので横を見る。
「茶碗蒸し、うまそうだな」
「カニが入ってますよ。少しだけど……」
「温かいか?」
「熱いくらいですね」
「なるほど」
そう言ったものの、主任が茶碗蒸しを注文する気配は見られない。どうやら、話題に詰まった末の会話だったようだ。
ひととおりお腹が満たされたので、湯呑みを両手で抱きながら回転しているお寿司を眺める。会計に入る前に食べたいものがないかの最終チェックだ。
目だけで隣を見れば、主任も肘をついてお茶を飲んでいる。ただ、積まれている皿の量は圧倒的に主任のほうが多い。
「デザートは食わんのか?」
「うーん、微妙なところです。お腹もいっぱいのような……。主任は食べるんですか?」
「いちごプリンなるものが気になるが、男一人で頼むのは恥ずかしい」
「もしかして……」
「君が二つ頼んでくれないか? デザート代くらいは出す」
私の前に積まれたお皿を主任のほうへ寄せる。
「ドーンとお寿司代を出してみませんか?」
「……デザート代だけだ」
寄せたお皿は私の目の前まで突き返されてしまった。
「私が二つ食べるみたいじゃないですか」
上司の命令に逆らえないわけではないけど、恥ずかしいと言った主任が少しかわいくて、私はデザートを二つ注文した。
ピンクのプリンが主任の前に置かれる。恥ずかしい、と言った意味がなんとなくわかるような気がした。無愛想な表情とピンク色は――似合わない。
一口目を口に入れた。
「なかなか……」
「おいしいですね。苺がしっかり入ってる」
もちろん、主任の容器が先に空になった。次いで私も食べ終える。
主任が会計呼び出しボタンを押した。
私も指を伸ばす。
「押さなくていい」
主任の制止する声は仕事の時のようで、おもわず手を引っ込めてしまった。
伝票を持った店員さんが主任の皿を数え始める。
「隣も一緒に」
「はい」
主任の伝票に、私の皿の枚数が加算されていく。
一皿百五円なので、私の分がいくらになるのかは自分でも計算できる。財布を取り出して千円札を主任へ押し付けた。
「私の分……」
「いらん」
店員さんから伝票を受け取った主任が、私を振り切ってレジへと向かっていく。
ご馳走すると言っている上司に、しつこくお金を出し続けるのも失礼にあたるだろう。そう思った私は支払いを終えた主任に「ありがとうございます。ごちそうさまです」と頭を下げた。
「たいした金額ではないから、気にしなくていい」
「でも……」
「気にするか?」
「そりゃ、もちろん」
「では、この後、付き合ってくれないか?」
「はい?」
主任が小さく咳払いをする。
「下心ありの男相手でよければ、だが」
「ラブホですか? そういうの無理ですよ」
「……君の体はいらん」
いつも毅然と部下に対応する主任が、私一人を相手にしているだけなのに目をそらしている。
――ああ、そういうことか。
「はい、私でよければ……いいですよ」
「ありがとう」
主任が柔らかく微笑む。
意外な表情に少しだけ私の胸が鳴った。
◇終◇
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読んでくださってありがとうございました。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 回転寿司 ++
会社のエレベーターの中で母にメールを打つ。
『ごめん。晩ご飯は食べて帰る』
『わかりました』
最近、ようやくメールの方法を覚えた母は、予測変換で出てくる定型文の場合は返事が早い。だけど、定型文なので家族でありながら敬語。最初こそ笑ったものの、もうさすがに慣れた。
晩ご飯を食べて帰るとメールしたものの、友達とおいしいディナーを食べに行く約束などしていない。単純にお寿司を食べたくなったので回転寿司でも行こうと思ったのだ。
騒々しいながらも、待たずにカウンターへ座ることができた。隣の空席におじさんが来なければいいな、と密かに思いながらお寿司へと手を伸ばす。
サーモンを頬張ったとたん、隣から「あっ」と聞こえてきた。
口内のものを飲み込んで隣へと目を移す。
「あ、主任じゃないですか」
とりあえず、見知らぬおじさんが回避できたのは幸い――というべきか。
「一人か?」
あまり話すことはないけど、私の上司なのでお茶くらいは淹れてあげる。
「一人です。どうぞ」
「どうも」
気まずく沈黙するくらいなら食べるほうが有意義。そう言わんばかりに私たちは互いに無言で食べ続ける。
主任が次々と積んでいく皿を眺め、やっぱり男の人は早いな、とどうでもいいことを思う。
温かい茶碗蒸しを口に運んでいると、主任の視線を感じたので横を見る。
「茶碗蒸し、うまそうだな」
「カニが入ってますよ。少しだけど……」
「温かいか?」
「熱いくらいですね」
「なるほど」
そう言ったものの、主任が茶碗蒸しを注文する気配は見られない。どうやら、話題に詰まった末の会話だったようだ。
ひととおりお腹が満たされたので、湯呑みを両手で抱きながら回転しているお寿司を眺める。会計に入る前に食べたいものがないかの最終チェックだ。
目だけで隣を見れば、主任も肘をついてお茶を飲んでいる。ただ、積まれている皿の量は圧倒的に主任のほうが多い。
「デザートは食わんのか?」
「うーん、微妙なところです。お腹もいっぱいのような……。主任は食べるんですか?」
「いちごプリンなるものが気になるが、男一人で頼むのは恥ずかしい」
「もしかして……」
「君が二つ頼んでくれないか? デザート代くらいは出す」
私の前に積まれたお皿を主任のほうへ寄せる。
「ドーンとお寿司代を出してみませんか?」
「……デザート代だけだ」
寄せたお皿は私の目の前まで突き返されてしまった。
「私が二つ食べるみたいじゃないですか」
上司の命令に逆らえないわけではないけど、恥ずかしいと言った主任が少しかわいくて、私はデザートを二つ注文した。
ピンクのプリンが主任の前に置かれる。恥ずかしい、と言った意味がなんとなくわかるような気がした。無愛想な表情とピンク色は――似合わない。
一口目を口に入れた。
「なかなか……」
「おいしいですね。苺がしっかり入ってる」
もちろん、主任の容器が先に空になった。次いで私も食べ終える。
主任が会計呼び出しボタンを押した。
私も指を伸ばす。
「押さなくていい」
主任の制止する声は仕事の時のようで、おもわず手を引っ込めてしまった。
伝票を持った店員さんが主任の皿を数え始める。
「隣も一緒に」
「はい」
主任の伝票に、私の皿の枚数が加算されていく。
一皿百五円なので、私の分がいくらになるのかは自分でも計算できる。財布を取り出して千円札を主任へ押し付けた。
「私の分……」
「いらん」
店員さんから伝票を受け取った主任が、私を振り切ってレジへと向かっていく。
ご馳走すると言っている上司に、しつこくお金を出し続けるのも失礼にあたるだろう。そう思った私は支払いを終えた主任に「ありがとうございます。ごちそうさまです」と頭を下げた。
「たいした金額ではないから、気にしなくていい」
「でも……」
「気にするか?」
「そりゃ、もちろん」
「では、この後、付き合ってくれないか?」
「はい?」
主任が小さく咳払いをする。
「下心ありの男相手でよければ、だが」
「ラブホですか? そういうの無理ですよ」
「……君の体はいらん」
いつも毅然と部下に対応する主任が、私一人を相手にしているだけなのに目をそらしている。
――ああ、そういうことか。
「はい、私でよければ……いいですよ」
「ありがとう」
主任が柔らかく微笑む。
意外な表情に少しだけ私の胸が鳴った。
◇終◇
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読んでくださってありがとうございました。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
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Re:無題
しばらく体調不良でPCから離れていたのでコメントを見てませんでした。レスがかなり遅れてすみません……。
私の中で上司と部下は書きやすいような書きにくいような、そんなポジションなのでなかなかこの設定を使うことがないんですよね。そんな設定ながら好いていただけて嬉しいです。
私の中で上司と部下は書きやすいような書きにくいような、そんなポジションなのでなかなかこの設定を使うことがないんですよね。そんな設定ながら好いていただけて嬉しいです。
SS探しなどにどうぞ
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プロフィール
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自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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