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関係:忍者と姫
場所:姫の部屋
内容:敵国の忍びが城に入り込んでいるとの噂を聞いた姫。その夜、彼に尋ねてみるが……
本当に本当に久しぶりのSSです。
なぜ久しぶりSSが忍者と姫かというと……とあるゲームのキャラソングってやつを聴いていたら、和風の曲と歌詞のおかげで書きたくなったのです。切ないの書きたい、という衝動が湧きました、久しぶりに(笑)
彼が敵か味方かというのはいつか書こうと思っていたネタです。どういう形にしようか迷っていたのですが、急に思い浮かんですんなりと書けてしまいました。本当はもっと敵か味方かと切迫する雰囲気にするつもりだったのですが、あんな形に。そして彼も謎を残したままというオチ(笑)
忍者の彼の素性は私でさえも知りません。これからどうなるのか私も楽しみですし、もちろん書いていて楽しいので、皆さんにも楽しんでもらえれば……。
さて、ついでに近況。
春という季節のせいか心地よい気温のせいか、どうにも集中力が長く持続しないのでなかなか小説書きに向かえませんでした。話も衝動も何も浮かばないという悲惨な状況。
それでも楽観的に日常生活過ごしていたところ、こうして書きたい衝動が湧く機会に恵まれたわけです(笑)
こんな感じでこれからもダラダラと続けていきますが見捨てずによろしくしてやってください(^_^;)
場所:姫の部屋
内容:敵国の忍びが城に入り込んでいるとの噂を聞いた姫。その夜、彼に尋ねてみるが……
本当に本当に久しぶりのSSです。
なぜ久しぶりSSが忍者と姫かというと……とあるゲームのキャラソングってやつを聴いていたら、和風の曲と歌詞のおかげで書きたくなったのです。切ないの書きたい、という衝動が湧きました、久しぶりに(笑)
彼が敵か味方かというのはいつか書こうと思っていたネタです。どういう形にしようか迷っていたのですが、急に思い浮かんですんなりと書けてしまいました。本当はもっと敵か味方かと切迫する雰囲気にするつもりだったのですが、あんな形に。そして彼も謎を残したままというオチ(笑)
忍者の彼の素性は私でさえも知りません。これからどうなるのか私も楽しみですし、もちろん書いていて楽しいので、皆さんにも楽しんでもらえれば……。
さて、ついでに近況。
春という季節のせいか心地よい気温のせいか、どうにも集中力が長く持続しないのでなかなか小説書きに向かえませんでした。話も衝動も何も浮かばないという悲惨な状況。
それでも楽観的に日常生活過ごしていたところ、こうして書きたい衝動が湧く機会に恵まれたわけです(笑)
こんな感じでこれからもダラダラと続けていきますが見捨てずによろしくしてやってください(^_^;)
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++ 信心 ++
部屋へ入ってきたとたん、侍女の目が鋭くあたりを見回した。誰もいないが何かを警戒するような様子を見せながら素早く私に近づく。
「何かあったの?」
「姫様、忍びの者とはまだ会っておられるのですか?」
あれが定期的な逢瀬などではないことはわかっていた。彼が私のもとを訪ねてこなければ会うこともかなわない。
「もし、会っていたら?」
会っている、と答えられるほどの自信はない。
「噂にすぎませんが、どうやら敵国の忍びがこの城に入り込んでいる、と」
「あなた、まさか……」
「はい、私はその忍びを疑っています。姫様、その者がどこに属しているのか聞いたことはあるのですか?」
記憶をたどる必要はなかった。彼が明かさないのは当たり前だが、私からそのような話を聞いたこともない。
反応を待つ彼女の前で私はゆっくりと首を振った。
「ないわ。敵か味方かもわからない」
彼女が小さく息をつき、意を決したような表情で私へと向き直る。
「以前、想う気持ちは止められない、と言いましたが……もし、その者が敵であるなら止めていただかなければなりません」
どこかで聞いた言葉が彼女の口から発せられる。
『……止めねばならぬ』
脳裏に低く呟く声がよみがえる。そう、彼が言ったのだ。
あの時は、忍びと姫の立場で恋慕の情など抱いてはならない、という意味かと思っていた。だが、もし彼が敵国の忍びならその意味は大きく変わってくる。
「あなたと同じ言葉を聞いたわ……」
「えっ?」
「止めねばならぬ、と彼が言ったの」
侍女がはっと息を飲む音が聞こえた。彼女も、私と同じことを考えたのだろう。
私たちの間につかの間の沈黙が流れる。互いに何も言えなかった。
「確かめてみるわ、彼に」
呟く私の言葉に彼女が顔を上げる。
「姫様、私はその者を疑っています。ですが、その者が敵国の忍びでなければいい、と願ってもいます。姫様のお気持ちの後ろに私は控えています」
そっと彼女の手をとり握り締めた。
「ありがとう」
彼女が手を握り返してくる。不安なのは私だけではない。
彼が来ても、私は近づくことなく座っていた。
私から動かない限り、彼から近づいてくることはない。
「聞きたいことがあるの」
彼が答えることはない。ただ、沈黙は肯定として受け取るようにしている。
「あなたはどこの国に属しているの? 私のところへ……この城へ来るのは何か政に関わる目的があるの?」
「答えられぬ」
黙っているのだろうと思っていたが、彼はすぐに答えを返してきた。彼は忍びなのだ。答えられないのは当たり前かもしれない。
「もっとはっきりと聞くわ。あなたは私の……敵か味方か」
腕を組んで伏し目がちに立っていた彼がわずかに視線を上げる。
「答えねばならぬか?」
「敵国の忍びがこの城に入り込んでいる、と噂を聞いたの」
「我ではない」
自然と安堵の息がもれた。
敵か味方か聞きたかったわけではなく、彼のこの答えを聞きたかったのだ。
「そう……よかった」
「忍びの言うことを信じるのか?」
立ち上がって彼の前に立つ。暗がりの中に潜む目を見つめた。
「信じるわ」
組まれていた彼の腕が解け、そっと私の背に回される。
どんな顔をしているのか見逃したくはなかったから、手の温もりを背に感じたまま、じっと彼の目を見つめていた。
「甘さを捨てねば生きられぬ」
「……惚れた弱みよ」
彼の言うことを信じてしまうのは、甘さなどではない。想う人の言うことは何でも信じてしまう――ただの女心があるだけなのだ。
ふっ、と彼が微笑むような声が聞こえた。さきほどよりも少し強い力で引き寄せられる。
「だから……我はおぬしを……忘れられぬ」
「私、あなたが敵国の者でもかまわないわ」
その瞬間、私の体に触れていたすべての温もりが消えた。彼が離れたのだ。
彼と私を隔てる三歩ほどの距離がやけに遠く感じた。
「もしかして、敵……なの?」
何も答えず、彼は静かに外へと飛び出していく。
慌てて追いかけたが、闇にまぎれた影が私の目に映ることはなかった――。
―了―
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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 信心 ++
部屋へ入ってきたとたん、侍女の目が鋭くあたりを見回した。誰もいないが何かを警戒するような様子を見せながら素早く私に近づく。
「何かあったの?」
「姫様、忍びの者とはまだ会っておられるのですか?」
あれが定期的な逢瀬などではないことはわかっていた。彼が私のもとを訪ねてこなければ会うこともかなわない。
「もし、会っていたら?」
会っている、と答えられるほどの自信はない。
「噂にすぎませんが、どうやら敵国の忍びがこの城に入り込んでいる、と」
「あなた、まさか……」
「はい、私はその忍びを疑っています。姫様、その者がどこに属しているのか聞いたことはあるのですか?」
記憶をたどる必要はなかった。彼が明かさないのは当たり前だが、私からそのような話を聞いたこともない。
反応を待つ彼女の前で私はゆっくりと首を振った。
「ないわ。敵か味方かもわからない」
彼女が小さく息をつき、意を決したような表情で私へと向き直る。
「以前、想う気持ちは止められない、と言いましたが……もし、その者が敵であるなら止めていただかなければなりません」
どこかで聞いた言葉が彼女の口から発せられる。
『……止めねばならぬ』
脳裏に低く呟く声がよみがえる。そう、彼が言ったのだ。
あの時は、忍びと姫の立場で恋慕の情など抱いてはならない、という意味かと思っていた。だが、もし彼が敵国の忍びならその意味は大きく変わってくる。
「あなたと同じ言葉を聞いたわ……」
「えっ?」
「止めねばならぬ、と彼が言ったの」
侍女がはっと息を飲む音が聞こえた。彼女も、私と同じことを考えたのだろう。
私たちの間につかの間の沈黙が流れる。互いに何も言えなかった。
「確かめてみるわ、彼に」
呟く私の言葉に彼女が顔を上げる。
「姫様、私はその者を疑っています。ですが、その者が敵国の忍びでなければいい、と願ってもいます。姫様のお気持ちの後ろに私は控えています」
そっと彼女の手をとり握り締めた。
「ありがとう」
彼女が手を握り返してくる。不安なのは私だけではない。
彼が来ても、私は近づくことなく座っていた。
私から動かない限り、彼から近づいてくることはない。
「聞きたいことがあるの」
彼が答えることはない。ただ、沈黙は肯定として受け取るようにしている。
「あなたはどこの国に属しているの? 私のところへ……この城へ来るのは何か政に関わる目的があるの?」
「答えられぬ」
黙っているのだろうと思っていたが、彼はすぐに答えを返してきた。彼は忍びなのだ。答えられないのは当たり前かもしれない。
「もっとはっきりと聞くわ。あなたは私の……敵か味方か」
腕を組んで伏し目がちに立っていた彼がわずかに視線を上げる。
「答えねばならぬか?」
「敵国の忍びがこの城に入り込んでいる、と噂を聞いたの」
「我ではない」
自然と安堵の息がもれた。
敵か味方か聞きたかったわけではなく、彼のこの答えを聞きたかったのだ。
「そう……よかった」
「忍びの言うことを信じるのか?」
立ち上がって彼の前に立つ。暗がりの中に潜む目を見つめた。
「信じるわ」
組まれていた彼の腕が解け、そっと私の背に回される。
どんな顔をしているのか見逃したくはなかったから、手の温もりを背に感じたまま、じっと彼の目を見つめていた。
「甘さを捨てねば生きられぬ」
「……惚れた弱みよ」
彼の言うことを信じてしまうのは、甘さなどではない。想う人の言うことは何でも信じてしまう――ただの女心があるだけなのだ。
ふっ、と彼が微笑むような声が聞こえた。さきほどよりも少し強い力で引き寄せられる。
「だから……我はおぬしを……忘れられぬ」
「私、あなたが敵国の者でもかまわないわ」
その瞬間、私の体に触れていたすべての温もりが消えた。彼が離れたのだ。
彼と私を隔てる三歩ほどの距離がやけに遠く感じた。
「もしかして、敵……なの?」
何も答えず、彼は静かに外へと飛び出していく。
慌てて追いかけたが、闇にまぎれた影が私の目に映ることはなかった――。
―了―
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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
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無題
こんにちは!(*^_^*)久々の忍者SSですね♪
ワタクシ教師生徒のみならず、このシリーズも大好きなんです!いつも感心するのですけど、こんなに短い文中に行間というか深みがあって空気感が伝わるお話を書かれていて凄いですね。
感想を書こうにも、上手く伝えられそうにない私には『読むばっかりでごめんなさい!』です。。
ワタクシ教師生徒のみならず、このシリーズも大好きなんです!いつも感心するのですけど、こんなに短い文中に行間というか深みがあって空気感が伝わるお話を書かれていて凄いですね。
感想を書こうにも、上手く伝えられそうにない私には『読むばっかりでごめんなさい!』です。。
Re:無題
ながのさん、こんにちは。SSの感想をありがとうございます。
教師生徒だけでなくこちらのシリーズも好いていただけてましたか。私も楽しんで書いているのでそう言ってもらえると嬉しいです。
書いている時はただただ妄想を吐き出すことに夢中で、行間から空気感を伝えようとかそういうようなことは考えてないのです、実は(^_^;) ただ、忍者と姫を書いている時は頭の中が……周りが無音になっているような感覚です。静かな月夜の下に入り込んで書いているので自然と作品にも出てしまうのかもしれません。
いえいえ、読むばっかりで全然かまいませんので、感想は無理なさらずお気になさらず。作品を楽しんでいただけているだけで私は嬉しいですし、こうして書いてくださるお気持ちが励みになっています。
教師生徒だけでなくこちらのシリーズも好いていただけてましたか。私も楽しんで書いているのでそう言ってもらえると嬉しいです。
書いている時はただただ妄想を吐き出すことに夢中で、行間から空気感を伝えようとかそういうようなことは考えてないのです、実は(^_^;) ただ、忍者と姫を書いている時は頭の中が……周りが無音になっているような感覚です。静かな月夜の下に入り込んで書いているので自然と作品にも出てしまうのかもしれません。
いえいえ、読むばっかりで全然かまいませんので、感想は無理なさらずお気になさらず。作品を楽しんでいただけているだけで私は嬉しいですし、こうして書いてくださるお気持ちが励みになっています。
SS探しなどにどうぞ
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女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
在住地:近畿地方
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