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関係:武将とくノ一
場所:戦場から離れたところ
内容:任務の途中で助けた兵。敵方の者だと伝えたとたんに彼が弓を向けた
しっとりした和物を書きたくなり、忍者と姫を書こうと思ったのですが、どうにもネタが浮かばず、「そういえばくノ一の話を、と言ってたことあったっけ」と思い出し、くノ一話に挑戦してみることに。
ストーリーが固まらないままに書き始めたので、10行ほど書いては「これで最後まで書けるか?」と悩んでは消すという作業を繰り返し、自分なりにしっくりときたのが今回のSSの話です。
忍者と姫の忍者は黙して語らないので謎ですが、今回のくノ一は彼女の視点で進んでいくので相手の彼が謎(笑)
彼女がどんな任務をしていたのかは知りませんし、設定も何も考えてませんが、明らかに彼に惚れてます。彼のほうは……どうなんでしょう。彼がどれほどの地位にいる人なのかも何も考えてません。忍者と姫よりはまだ彼らは会話も交わしているので、気持ちの障害はそれほどないような気が。
くノ一はやはりくノ一なので今後大人っぽい展開も入ってくるやも……ってまた書くようなこと言ってしまってますが、たぶんまた書くと思われます。二人の今後が私も見たい(笑)
忍者のことはネットで調べたのですが、いかんせんくノ一の資料や知識みたいなものはまだ全然調べてないんですよね。史実などに沿うつもりはないんですけど、あまり大きくファンタジーにもしたくないといいますか。私なりの世界観を築いていければな、と……。
あいかわらずコイツは和風好きだな、と笑いながら読んでいただければ幸いです(笑)
場所:戦場から離れたところ
内容:任務の途中で助けた兵。敵方の者だと伝えたとたんに彼が弓を向けた
しっとりした和物を書きたくなり、忍者と姫を書こうと思ったのですが、どうにもネタが浮かばず、「そういえばくノ一の話を、と言ってたことあったっけ」と思い出し、くノ一話に挑戦してみることに。
ストーリーが固まらないままに書き始めたので、10行ほど書いては「これで最後まで書けるか?」と悩んでは消すという作業を繰り返し、自分なりにしっくりときたのが今回のSSの話です。
忍者と姫の忍者は黙して語らないので謎ですが、今回のくノ一は彼女の視点で進んでいくので相手の彼が謎(笑)
彼女がどんな任務をしていたのかは知りませんし、設定も何も考えてませんが、明らかに彼に惚れてます。彼のほうは……どうなんでしょう。彼がどれほどの地位にいる人なのかも何も考えてません。忍者と姫よりはまだ彼らは会話も交わしているので、気持ちの障害はそれほどないような気が。
くノ一はやはりくノ一なので今後大人っぽい展開も入ってくるやも……ってまた書くようなこと言ってしまってますが、たぶんまた書くと思われます。二人の今後が私も見たい(笑)
忍者のことはネットで調べたのですが、いかんせんくノ一の資料や知識みたいなものはまだ全然調べてないんですよね。史実などに沿うつもりはないんですけど、あまり大きくファンタジーにもしたくないといいますか。私なりの世界観を築いていければな、と……。
あいかわらずコイツは和風好きだな、と笑いながら読んでいただければ幸いです(笑)
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++ 邂逅 ++
私の足音のせいか、木陰に寝かせていた彼が目を覚ます。
ほとんど裸に近い彼の体にはあちこちに傷がついている。彼の着ているものを剥いで、手当てへと使ったのは私だ。
「なぜ、女が戦場にいる?」
「女が戦ってもいいんじゃないかしら?」
腕にも傷を負っているはずなのに、彼は脇に置いていた弓をひいて私へと向ける。
「どこの者だ?」
「あなたの敵方の者よ」
ひゅっと風の音より先に矢が飛んできたが、腰に佩いていたクナイで弾き飛ばす。彼が怪我を負っていたからこそ出来たことだ。
彼はもう次の矢をつがえてはいなかった。私の持っていたクナイを見つめている。
「くノ一……間者か」
「戦に紛れて大将を殺すはずだったのに、とんだ拾い物をしてしまったわ」
木を支えにしながら彼が立ち上がり、弓を捨てて刀を拾い上げる。
「お前を殺さねばならぬ」
「その傷でどうするつもり? あなたのほうが先に死ぬわよ」
彼は確かに刀を私へ向けているが、肝心の殺気が弱い。おまけに傷も負っている。刃を交えれば最後に立っているのは私だろう。
歯を食いしばり自力で立った彼は、私を見据えて大きく息を吸った。そして、痛みが消えたかのように、刀を構えて私と対峙する。。
「間者を易々と通すわけにはいかぬ」
「たいした忠義ね。……助けなければよかった」
この展開は予想していた。なのに、なぜ私は彼を助けたのか。戦で倒れている兵など何人もいるのに、なぜ彼だけが私の目に止まったのか。
クナイを構えてはいるが、彼を殺すつもりなどない。殺気のない私はさぞかし隙だらけだろう。彼が傷を負っていても私を殺すことは容易いはずだ。
「なぜ、死を見ている?」
「どういうこと?」
「殺されるつもりか?」
クナイを構えたまま、いたずらがばれた子供のように私は笑った。
「そうかもしれない。でも、間者は殺すのでしょう?」
「ああ……」
私は隙だらけの構えのまま、彼の懐へ飛び込んだ。
命を奪う気などない私のクナイが、彼の体を狙う。何度も刃の合わさる音がした。彼の刀は私の攻めをひたすら防いでいるだけだ。
やがて、互いの体が凍りつく。
私の胸には彼の刀、彼の首には私の刃がつきつけられている。
「殺すのではなかったの?」
「お前こそ……」
動いていた風がやむ中、至近距離で私たちは見つめあう。
先に刃を地面へと放り投げたのは私。彼の頬にはしった傷をなぞる。
「死んでほしくなかったから……助けたのよ」
刃で狙った首をなぞると、彼の喉仏が動いた。
彼が刀を下ろした。
「間者であろうと、命を助けてもらった恩を仇で返す気はない」
「見逃すと言うの?」
無骨で荒れた指が私の唇を撫でた。
彼の熱が、刃よりも痛く心に入り込んでくる。
「俺が見逃しても、お前は間者を続ける」
「これしか、知らないのよ」
「女として暮らすこともできよう」
「私を傍に置きたくなったのかしら?」
「……わからぬ」
なおも唇を撫で続ける彼の指を噛んだ。
彼が手を引っ込めると同時に、私も離れた。近くで見つめると、力強い瞳に立場を忘れそうになる。
「間者を見逃すなんて、あなた馬鹿だわ」
「お前も、だろう」
クナイを拾い上げ、私は腰へと戻す。
「あなたの命を狙うこともあるかもしれない」
刀を鞘に戻し、弓と矢筒を取り、彼も歩き出す。
「次は、容赦せぬ」
彼の後姿をじっと見送っていた。
「生きていて……」
届くかわからない声を風にのせるように呟いた。
―了―
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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 邂逅 ++
私の足音のせいか、木陰に寝かせていた彼が目を覚ます。
ほとんど裸に近い彼の体にはあちこちに傷がついている。彼の着ているものを剥いで、手当てへと使ったのは私だ。
「なぜ、女が戦場にいる?」
「女が戦ってもいいんじゃないかしら?」
腕にも傷を負っているはずなのに、彼は脇に置いていた弓をひいて私へと向ける。
「どこの者だ?」
「あなたの敵方の者よ」
ひゅっと風の音より先に矢が飛んできたが、腰に佩いていたクナイで弾き飛ばす。彼が怪我を負っていたからこそ出来たことだ。
彼はもう次の矢をつがえてはいなかった。私の持っていたクナイを見つめている。
「くノ一……間者か」
「戦に紛れて大将を殺すはずだったのに、とんだ拾い物をしてしまったわ」
木を支えにしながら彼が立ち上がり、弓を捨てて刀を拾い上げる。
「お前を殺さねばならぬ」
「その傷でどうするつもり? あなたのほうが先に死ぬわよ」
彼は確かに刀を私へ向けているが、肝心の殺気が弱い。おまけに傷も負っている。刃を交えれば最後に立っているのは私だろう。
歯を食いしばり自力で立った彼は、私を見据えて大きく息を吸った。そして、痛みが消えたかのように、刀を構えて私と対峙する。。
「間者を易々と通すわけにはいかぬ」
「たいした忠義ね。……助けなければよかった」
この展開は予想していた。なのに、なぜ私は彼を助けたのか。戦で倒れている兵など何人もいるのに、なぜ彼だけが私の目に止まったのか。
クナイを構えてはいるが、彼を殺すつもりなどない。殺気のない私はさぞかし隙だらけだろう。彼が傷を負っていても私を殺すことは容易いはずだ。
「なぜ、死を見ている?」
「どういうこと?」
「殺されるつもりか?」
クナイを構えたまま、いたずらがばれた子供のように私は笑った。
「そうかもしれない。でも、間者は殺すのでしょう?」
「ああ……」
私は隙だらけの構えのまま、彼の懐へ飛び込んだ。
命を奪う気などない私のクナイが、彼の体を狙う。何度も刃の合わさる音がした。彼の刀は私の攻めをひたすら防いでいるだけだ。
やがて、互いの体が凍りつく。
私の胸には彼の刀、彼の首には私の刃がつきつけられている。
「殺すのではなかったの?」
「お前こそ……」
動いていた風がやむ中、至近距離で私たちは見つめあう。
先に刃を地面へと放り投げたのは私。彼の頬にはしった傷をなぞる。
「死んでほしくなかったから……助けたのよ」
刃で狙った首をなぞると、彼の喉仏が動いた。
彼が刀を下ろした。
「間者であろうと、命を助けてもらった恩を仇で返す気はない」
「見逃すと言うの?」
無骨で荒れた指が私の唇を撫でた。
彼の熱が、刃よりも痛く心に入り込んでくる。
「俺が見逃しても、お前は間者を続ける」
「これしか、知らないのよ」
「女として暮らすこともできよう」
「私を傍に置きたくなったのかしら?」
「……わからぬ」
なおも唇を撫で続ける彼の指を噛んだ。
彼が手を引っ込めると同時に、私も離れた。近くで見つめると、力強い瞳に立場を忘れそうになる。
「間者を見逃すなんて、あなた馬鹿だわ」
「お前も、だろう」
クナイを拾い上げ、私は腰へと戻す。
「あなたの命を狙うこともあるかもしれない」
刀を鞘に戻し、弓と矢筒を取り、彼も歩き出す。
「次は、容赦せぬ」
彼の後姿をじっと見送っていた。
「生きていて……」
届くかわからない声を風にのせるように呟いた。
―了―
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今後の創作の励みにさせていただきます。
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プロフィール
HN:
水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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