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関係:武将とくノ一
場所:屋敷の一室
内容:白拍子として潜入した私。そんな私を今宵の相手にすると言って彼は宴席を抜け出した。
くノ一についてちょっとだけ調べましたら……舞や芸を披露して情報収集をするくノ一の集団があった、とあり、そこから思いついたものです。前半はやはりどうもベタ路線(笑)
今回のSSの一番の悩みどころは二人をどこまで進ませるか、でした。体を重ねて一晩を過ごすか、全く何もせずに終わるか……結果は今回の通りです。きっかけは事前に決めていましたが、あとは二人が自然に動くままに筆を任せました。
忍者と姫は心なくして体の関係はありえないのに比べて、この二人は心を置いて体の関係を先に進めてしまえる、私の中でそんな寂しく切ないイメージです。私自身は、心を置いて体の関係を進めた実体験はありません(笑)
あ、連絡役というのもくノ一について調べた時に出てきたものです。
忍者と姫、今回の二人、「しっとりを書きたい」という根底は同じです。読まれた方にも静かに浸っていただける世界観になっていれば幸い。
場所:屋敷の一室
内容:白拍子として潜入した私。そんな私を今宵の相手にすると言って彼は宴席を抜け出した。
くノ一についてちょっとだけ調べましたら……舞や芸を披露して情報収集をするくノ一の集団があった、とあり、そこから思いついたものです。前半はやはりどうもベタ路線(笑)
今回のSSの一番の悩みどころは二人をどこまで進ませるか、でした。体を重ねて一晩を過ごすか、全く何もせずに終わるか……結果は今回の通りです。きっかけは事前に決めていましたが、あとは二人が自然に動くままに筆を任せました。
忍者と姫は心なくして体の関係はありえないのに比べて、この二人は心を置いて体の関係を先に進めてしまえる、私の中でそんな寂しく切ないイメージです。私自身は、心を置いて体の関係を進めた実体験はありません(笑)
あ、連絡役というのもくノ一について調べた時に出てきたものです。
忍者と姫、今回の二人、「しっとりを書きたい」という根底は同じです。読まれた方にも静かに浸っていただける世界観になっていれば幸い。
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++ 束の間の情 ++
舞を終えた白拍子は酒の酌をした男に、夜の相手に誘われることがある。相手の身分ゆえに断ることはできない。
私はある無口な男の杯に酒を注いでいた。話しかけても笑いかけても、彼はただ黙々と酒を口に運ぶのみ。
次々と仲間が男と二人で席を外していく。もちろん、引き止める者はいない。
ただただ酒を飲みつづける男に、私は根気良く付き合う。彼から情報を引き出す必要があった。
「そこの女、すまぬがわしの相手もしてくれんか」
贅沢に太った体をもつ男が後ろの席で私を手招きしている。一介の芸人である私に断るすべはないので、仕方なく立ち上がって男のもとへ向かおうとしたが、それまで姿勢を崩さなかった目の前の彼が、立ち上がって私の手をとった。
「この女は私が今宵の相手にしようと思っているのです」
私を手招きしていた男は彼の言葉に微笑んだ。
「なんと、おぬしが女と同衾するとは珍しい。わしのことはかまわんでよい」
二人の関係は読めないが、彼が男に好かれていることはよくわかった。
「酒はもうよい。行くぞ……」
「はい」
宴の場をあとにする私たちを、先ほどの男が笑って見送っていた。
客人のために用意されたらしい部屋へ、彼は私をつれていった。
夜具が敷かれ、燭台の薄い明かりが室内を照らしている。
彼から誘ってくるとは思っていなかった。忍であることを宴の場で明かされ、殺されると思っていた。彼は私の正体を知る唯一の人なのだから。
「今宵は誰を狙っていたのだ?」
戸を閉めた瞬間、彼は小さく強く訊ねてきた。
「あなたを」
「だが、俺は何も言わぬ」
「……言ってもらうわ」
手を伸ばし、胸元を開いて、邪魔な衣を彼の肩から落とす。鍛錬を怠っていないであろう、その逞しい体にしばし目が吸い寄せられた。相手は男だが、美しいとさえ思えた。
ただ無言で彼は私を見下ろしている。くノ一の技を見せてみろ、そう言われているような気分だ。
彼の胸の下に残っている傷を指でたどる。
「まだ消えていないのね」
「先の戦から、それほど経っていない」
「そう……」
言いながら今度は唇で傷跡をたどる。そのまま唇をすべらせ、胸の先にあるものを口に含んだ。余る指先は彼の腕の筋をたどるようになぞる。
ぴくりとすら反応してくれない彼の体。焦れた私は袴の中に隠れた彼の欲の塊を手で包む。ゆっくり撫でてやればすぐに応えてくれるだろう。
彼が動いた。両手首を強い力でつかまれる。
「いっ……何を」
顔をあげたとたん、乱暴に唇を塞がれた。有無をいわせず舌が口内に潜り込んでくる。
歯を合わせれば彼の舌を噛み切れる。顔をそむければ唇から逃れることもできる。だが、私はどちらも実行せず、口内が蹂躙されるのをおとなしく受け入れていた。
彼が離れてもしばらく呆然と立ち尽くす。
突如、抜刀した彼は天井へ刀を突き刺した。
裏に潜んでいた連絡役の忍がかすかな気配を残して去っていく。
天井から刀を抜いた彼は、その切っ先を今度は私へと向けた。ふっと口元をゆがませ、自嘲の笑いを浮かべている。
「わずかな情も命取りとなるか」
先ほど合わせた唇は互いの真実。切っ先がこれ以上は進まないのを、私は心のどこかで気づいている。
案の定、刀はすぐに鞘へとおさめられた。
彼が部屋を出て行こうとする。引き止める言葉を探したが、
「女が欲しくはないの?」
つまらない問いしか出てこなかった。
「毒と知りながら飲む者などおらぬ」
悲しい横顔を残し、彼は出て行った。
口から含んだ彼の情が、私の体と胸を切なく焦がしていく。
彼のような甘い毒ならば、私はためらうことなく読み干すだろう。
唇から彼への想いを吐き出すように、息を吹き付け私は燭台の火を消した。
―了―
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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
++ 束の間の情 ++
舞を終えた白拍子は酒の酌をした男に、夜の相手に誘われることがある。相手の身分ゆえに断ることはできない。
私はある無口な男の杯に酒を注いでいた。話しかけても笑いかけても、彼はただ黙々と酒を口に運ぶのみ。
次々と仲間が男と二人で席を外していく。もちろん、引き止める者はいない。
ただただ酒を飲みつづける男に、私は根気良く付き合う。彼から情報を引き出す必要があった。
「そこの女、すまぬがわしの相手もしてくれんか」
贅沢に太った体をもつ男が後ろの席で私を手招きしている。一介の芸人である私に断るすべはないので、仕方なく立ち上がって男のもとへ向かおうとしたが、それまで姿勢を崩さなかった目の前の彼が、立ち上がって私の手をとった。
「この女は私が今宵の相手にしようと思っているのです」
私を手招きしていた男は彼の言葉に微笑んだ。
「なんと、おぬしが女と同衾するとは珍しい。わしのことはかまわんでよい」
二人の関係は読めないが、彼が男に好かれていることはよくわかった。
「酒はもうよい。行くぞ……」
「はい」
宴の場をあとにする私たちを、先ほどの男が笑って見送っていた。
客人のために用意されたらしい部屋へ、彼は私をつれていった。
夜具が敷かれ、燭台の薄い明かりが室内を照らしている。
彼から誘ってくるとは思っていなかった。忍であることを宴の場で明かされ、殺されると思っていた。彼は私の正体を知る唯一の人なのだから。
「今宵は誰を狙っていたのだ?」
戸を閉めた瞬間、彼は小さく強く訊ねてきた。
「あなたを」
「だが、俺は何も言わぬ」
「……言ってもらうわ」
手を伸ばし、胸元を開いて、邪魔な衣を彼の肩から落とす。鍛錬を怠っていないであろう、その逞しい体にしばし目が吸い寄せられた。相手は男だが、美しいとさえ思えた。
ただ無言で彼は私を見下ろしている。くノ一の技を見せてみろ、そう言われているような気分だ。
彼の胸の下に残っている傷を指でたどる。
「まだ消えていないのね」
「先の戦から、それほど経っていない」
「そう……」
言いながら今度は唇で傷跡をたどる。そのまま唇をすべらせ、胸の先にあるものを口に含んだ。余る指先は彼の腕の筋をたどるようになぞる。
ぴくりとすら反応してくれない彼の体。焦れた私は袴の中に隠れた彼の欲の塊を手で包む。ゆっくり撫でてやればすぐに応えてくれるだろう。
彼が動いた。両手首を強い力でつかまれる。
「いっ……何を」
顔をあげたとたん、乱暴に唇を塞がれた。有無をいわせず舌が口内に潜り込んでくる。
歯を合わせれば彼の舌を噛み切れる。顔をそむければ唇から逃れることもできる。だが、私はどちらも実行せず、口内が蹂躙されるのをおとなしく受け入れていた。
彼が離れてもしばらく呆然と立ち尽くす。
突如、抜刀した彼は天井へ刀を突き刺した。
裏に潜んでいた連絡役の忍がかすかな気配を残して去っていく。
天井から刀を抜いた彼は、その切っ先を今度は私へと向けた。ふっと口元をゆがませ、自嘲の笑いを浮かべている。
「わずかな情も命取りとなるか」
先ほど合わせた唇は互いの真実。切っ先がこれ以上は進まないのを、私は心のどこかで気づいている。
案の定、刀はすぐに鞘へとおさめられた。
彼が部屋を出て行こうとする。引き止める言葉を探したが、
「女が欲しくはないの?」
つまらない問いしか出てこなかった。
「毒と知りながら飲む者などおらぬ」
悲しい横顔を残し、彼は出て行った。
口から含んだ彼の情が、私の体と胸を切なく焦がしていく。
彼のような甘い毒ならば、私はためらうことなく読み干すだろう。
唇から彼への想いを吐き出すように、息を吹き付け私は燭台の火を消した。
―了―
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プロフィール
HN:
水月
性別:
女性
自己紹介:
年齢:30代前半
在住地:近畿地方
執筆歴:15年ほど
執筆ツール:WinXPノートパソコン
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