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関係:金貸し男と女子高生
場所:男の事務所
内容:俺を惚れさせればタダで抱いてやる。彼はそう言ったけど惚れさせる方法なんて私は知らない。
備考:[興味/金貸し男と女子高生]の続編

最近ちょっと腰が不調で、夜更かしながら早めに布団に入って、なんとなく携帯で自作SSを読み返したりしてました。そんななか、ケリのついてないSSを発見し、続きを書きたくなったので書いてみたのが今回のSSです。
書きたくなったものの、展開など何も考えず書き始めたので、探り探りで執筆に時間かかってます、というどうでもいい裏話。
今回は会話内容が微妙に大人向けかもしれません。いや、大丈夫だと思うんですけど、わかる人にはわかる大人要素のような気も。「ベッドでたっぷり言ってやる」というようなセリフに嫌悪感がなければ大丈夫だと思われます、たぶん(笑)
前回のSSから時間が経っているせいか、少し彼の悪さが足りない気はしてます。が、これはこれでいいんじゃないかとも思ったり。
ここ1ヶ月ほどゲームにハマっていて創作から離れていたので、最近は創作意欲がちょっと暴発気味です。しばらくはハイペースでSS更新できる……かもしれません。あくまで『かも』。
毎度、衝動でマイペースなSSを楽しんでいただければ幸いです。

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 ++ 準備 ++

 好きな人に、お前の好きにすればいい、なんて言われたら、それがどんな場所であろうと会いに行く。
 体を横にしてダンボールなどが積まれた狭い廊下を通り、文字のはげたプレートがついた簡素なドアを開ける。
「こんにちは」
 部屋に押し込められていた煙草の煙が私を出迎える。おもわず咳き込みながら部屋の主に挨拶。
「雑居ビルに頻繁に出入りする女子高生。売春斡旋の事務所かと思われるだろうが」
 煙草を灰皿に押し付け、彼が部屋の窓を開ける。なんだかんだ言いながら、私が来るといつもこうして換気してくれるのだ。だから、彼への想いも、ここへ来るのもやめられない。
 俺を惚れさせればタダで抱いてやる――。
 この約束が果たされる気配はまだない。
 彼が再び広げた新聞が、冬近い寒風にあおられてバサバサと音をたてている。私の短いスカートもひらひらとめくれているのに、彼は全くこっちを見ない。より彼に見せようと、窓を閉めるふりをして近づいてみた。
 部屋はそれほど綺麗とは言いがたいのに、彼からはいつもいい香りがする。短髪の髪も無造作ながら整えられ、髭も適度な長さに剃られている。汗くさいまま教室をうろうろとする男子とは違いすぎる。なにより、そんな環境にいる私とも違いすぎる。香水にも煙草にも縁はない。
「まだ女子高生だし……」
 窓を閉める音にまぎらわせてむなしい独り言。
「惚れさせる方法とか知らないし」
 これは、彼にあてつけた愚痴。
「ハマってみたいのに」
 窓を完全に閉めた室内にやけに響いてしまった最後の呟き。
 彼が振り向いた。新聞を置いた指は下方を指している。
「これを触って、舐めて、入れる。出来るってんなら今すぐやってやるぜ?」
「これって……」
 『これ』の指すものが全くわからない、ということもない。ただ、突然の展開に頭の理解がついていけない。
 彼はそんな私を置いて、さらにデスクの引き出しから、何か書かれた箱を取り出した。
「……四つありゃ足りるだろ」
 小さくシンプルな箱にははっきりと『SKIN』と書かれている。実物は見たことがなかったけど、これが何かわからないほど無知でもない。
 答えるよりも先に足が逃げていた。
「えっと……あの……無理」
 私の反応に笑いながら、彼は箱を振って中身があることを示す。
「一つやろうか?」
 距離をおくだけながら、一番の危機は回避できたと思う。
 彼の冗談に言い返す余裕もうまれる。
「相手が持ってるってわかったから、私はいらない」
 からかい口調だった彼の笑顔が引いていく。一度視線を落とし、改めて私を見据えてくる。
「諦めてねぇ、か」
「何を、かわからないけど……うん、いろいろ諦めてない」
 諦めようにも、一度うまれた彼の想いは容易に消えてくれない。日々、増幅している。
 彼が向き合ってくれているのがわかるから、私も視線をそらさず話す。
 今も手に持っているSKINの箱を開け、おもむろに彼が中を数えだした。
「三つ、か……。使い切ってやるから奥に行きな」
「奥って?」
「奥の部屋にはベッドがある。これの残りは三つ。それ以上したいなら買いに行け」
 小箱から取り出したものをポケットに突っ込み、彼はすでに立ち上がっている。
 それを制止するように、彼の前に立った。
「わかった。わかった……けど、わからない」
「なんだ?」
「惚れさせなきゃダメで、奥に行けってことは……そういうこと?」
「ベッドでたっぷり言ってやる」
 彼が私の肩をつかんで奥へとうながす。
 あわててドアの近くへと走って逃げた。
「待って、待って。今すぐ?」
「最初に話を持ちかけてきただろうが?」
「心とか、下着とか、体とか……いろいろ準備があるから今すぐは無理。というか、こんなのイヤです」
「……めんどくせぇ」
「処女だし、いろいろとあるの」
 ポケットに一度は入れたものを、彼がデスクへと放り投げる。
「わかったから、今日は帰りな」
 受け入れられた直後に捨てられたような不安が胸にわきおこる。
「他の女の人とか呼ばない?」
「処女の準備とやらが終わるのを待ってやるよ」
「……なんか、ごめん」
「惚れた女だ。しかたねぇ」
 そう言って、彼はにやりと笑った。


 ◇終◇


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読んでくださってありがとうございます。
よかったらコメント欄などから感想の声を聞かせてください。
今後の創作の励みにさせていただきます。
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