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関係:武将とくノ一
場所:小屋
内容:追われている彼を小屋へ引っ張り込む。彼の胸元を広げ、私も胸をさらし、彼の頭を胸に抱きこんだ。

前半はもう思い切りベタ展開です。本当にこんなので追っ手をやり過ごせるのか、というツッコミはご勘弁(笑)
体を武器としなければいけない彼女の切なさをただ書きたかったんです。彼はそんな彼女を見てどう思っているのか。それはまだ私でもつかめてません。どうなんだろう……。
突発的に書き始めたくノ一ものですけど、なんだかこのカップリングにハマっていきそうな予感(笑) 今はこの二人を書くのが本当に楽しいです。ネタがどんどん浮かんできそうです。

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 ++ 肌の痕 ++

 くノ一だからといっていつも忍装束で歩いているわけではない。
 村娘のような格好で歩く私の前を、一人の男が走りすぎていく。必死の形相で駆ける男の後方には、これまた男が三人。
 追われる男の顔には見覚えがあったので、私は別の道を通って先回りする。
 彼の顔を見るのはあの戦以来だ。生きていてくれて嬉しかった。どんな事情があるかは知らないが助けたい。
「こっちよ」
 追われる彼の腕をとって近くの小屋へ引きずり込んだ。
「お、お前は……」
 彼の襟をつかんで胸元を広げた。次に私の着物を乱して肌をさらし、彼の顔を胸に抱きこむ。
 荒くて熱い彼の息が胸に何度も吹きかけられている。
「黙って」
 足音が小屋の前で止まる。
「ここだな?」
「ここしかない」
 勢いよく開いた戸の向こうには三人の男の視線。
 私たちを見た瞬間、彼らは一様に戸惑い始めた。互いに目を見合わせている。
「んっ……あっ……邪魔しないでおくれよ」
 彼に愛撫を受けているかのような吐息を出し、体をよじらせる。
 私の言葉で事態を察したのか、彼が力強く私を抱きしめた。
「あぁ、あんた、そんなに急がなくていいから……」
 男たちがいないかのように、私は彼の頭を抱きしめて甘い声をあげる。
「ふんっ、邪魔をしたな」
 一人の男の声と共に男たちは出て行った。戸が閉められる。
 私たちは動きを止め、耳に意識を集中させて彼らの足音をたどる。遠ざかったそれらは、やがて風の中へ消えていった。
 どちらからともなく素早く離れ、私たちは乱れた着物を整える。
「助かった。礼を言う」
「また、私を殺せなくなったわね」
 胸元にはまだ彼の息の熱さが残っている。
「うまいものだ。さすがと言うべきか」
「女を知らないわけではないでしょう?」
「……お前は多くの男を知っている」
 胸を覆う布を思わず握り締める。だが、もう遅い。胸には赤く小さい無数の痣――男の愛撫を何度も受けた印がある。
 女が情報を得るための武器は体なのだ。心はすでに割り切っている。なのに、彼の前ではその印のついた体が恨めしい。
「見たのね?」
「見せつけられた」
 そう、彼の顔を胸に押し付けたのは私だ。
「蔑む?」
「いや……そうしなければならなかったのだろう」
 意外な言葉だった。彼の堅物さを考えれば、このような女はたとえくノ一だろうと蔑まれると思っていた。
 いや、そうではない。一人の男の視線を、私は何故こんなに気にしているのだろう。どう見られてもかまわない、今までそう生きてきたのに。
「なぜ、そう思ったの?」
「……かきむしった痕があった」
「そんなことをしても感触は消えない。わかっているの」
 数々の男との行為の後、痣を傷に、感触を痛みに変えようとした。だが、傷は痣よりも長く体に居座る。見るたびによみがえってくる。
「お前の肌は白く美しい。あまり傷をつけぬほうがよい」
 肌を誉める言葉など聞き飽きたはずだった。だが、彼の言葉に自身でもわかるほどに胸が鳴る。
 色々な感情が胸に押し寄せて、何も言葉が返せない。無数の痣と感触ごと彼に抱きしめてほしくなった。
 近づく私から逃れるように、彼が戸を開ける。
「つまらぬことを言った……」
「いいえ、ありがとう」
 私の言葉を背で受け止めるように彼は立ち止まり、やがて静かに出て行った。
 切なく痛むのは傷か、心か――。

『お前の肌は白く美しい』

 彼の言葉が胸に優しく広がっていた。


 ―了―


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無題
うわー、そういう展開なんですね!とびっくりしました。続きが気になります。
この二人うまくいくといいけど…時代的には難しいんでしょうねぇ(涙)。
ほたる 2008/09/11(Thu)20:39:14 編集
Re:無題
ほたるさん、感想ありがとうございます。
びっくりしたってことは何か予想外な展開にしてしまったんでしょうか。私としてはむしろベタな展開だな、と思っているんですけど……。
SSに関しては続きは期待なさらず気長にお願いします。私もいつ書きたくなるか全くわからないもので。
忍者と姫よりはまだこの二人はうまくいくのではないかな、と私の中では思ってますけどどうなるんでしょうかね。なにはともあれ、のんびりとお付き合いください(^_^;)
【2008/09/13 00:10】
SS探しなどにどうぞ
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